伝え漏れる中国の2019年3Qの不振
早いもので、2019年の第3四半期もまもなく終わろうとしています。
個別の米国株の決算やアメリカのGDPが気になるところですが、アメリカ国内の景気は経済指標を見る限り7-9月で大きな問題が見られなかったので、多分無難に乗り切るのだろうと楽観視しています。なんだかんだ言いながら、アメリカは景気が底堅いです。
気になっているのは、一部良くないデータを耳にする中国です。
China Beige Bookによると、中国経済の7-9月は2019年初来で最も低調が目立ったとのことです。
- 7-9月期は債券発行額が調査した中で過去最高の水準にあり、シャドーバンキングの比率も記録上2番目に高い。
- 製造業が不振。輸出減少以上に、販売価格が大幅に伸び悩んでいる。
- 製造業の大幅な人員削減をしているが、サービス業もその人員を吸収しきれていない状況。
なるほど、気がかりですね。
そして、国家情報センターの経済予測部門の局長Zhang氏によると、中国の第3四半期のGDPも低調になりそうだと予想しているようです。Zhang氏は具体的な数字を予想しているので、それも確認してみましょう。
“GDPは第3四半期に6.1%になると予想しています”
人の予想は現実よりも早く訪れる
・・・あれ。思ったほど、減速していない気がします。
私の記憶だと、たしか中国は第2四半期でGDP前年比6.2%成長だったのですが、あれだけ中国の7-9月期のさまざまな低迷に関する丁寧なフリがあっても、たった0.1%しか成長率は減速しないのでしょうか。
China Beige Bookが言っていた販売価格の大幅な伸び悩みは、実際直近の生産者物価指数をみても顕著に悪化していて、相当な製造業の弱さを感じるのですが、それでもGDP成長率は6.1%に踏みとどまるのでしょうか。
中国生産者物価指数 | 結果 |
---|---|
2019年08月 | -0.80% |
2019年07月 | -0.30% |
2019年06月 | 0.00% |
2019年05月 | 0.60% |
2019年04月 | 0.90% |
成長率6.2%から6.1%への低下って、ほぼ誤差ですよね。
正直なことをいうと、私はドッと疲れが出ました。
いろんな人が「景気の悪化する」と懸念していますが、国の景気が悪化する速度というのは、こんなにもゆっくり進むものなんですね。2019年人の懸念や心配や憶測・噂は本当に早く広まりますが、どうしてなかなか、現実は人が予想するよりも数段遅れてしかやってこないですね。いい勉強になります。
実は同じようなことは、2008年のリーマンショック時にも経験している気がします。このときは、逆に「大きな下落を経験して、株価は底を打ったはずだ」という期待が先行したものの、実体経済の本格的な悪化は期待よりも数段遅れて訪れるというものでした。
ウォーレン・バフェット曰く、「株式市場では信号はいつでも、黄色を経ることなく、いきなり緑から赤に変わる可能性をはらんでいる」と言います。
しかし、私の場合は長期投資のスタンスにも関わらず、いつ赤信号になるかと警戒しすぎて、現実よりも早く景気が悪化すると見る傾向があるようです。
ずっと警戒モードで、市場を観察するのも疲れます。既に、ある程度はポートフォリオも株の下落に備えたものにしつつあるので、もっと気楽に気長に待ちたいと思います。
「もう来るか、まだか」と神経を使うのでは、疲れてしまいます。