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安定成長のマスターカード、3年間無敗の好決算【19年10-12月期】

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マスターカードの2019年10-12月期の決算発表がありました。

「どうせ、アナリストの予想超えでしょう」と思ってニュースを待っていると、やはり結果は良かったです。この企業は何も心配していません。これで、決算は12回連続で収益も利益もアナリスト予想を上回りました。

3年間無敗です。

  • 一株利益:1.96ドルで予想1.87ドルを上回る。(前年比+26%)
  • 収益:44.1億ドルで44億ドルをわずかに上回る(前年比+16.1%)

良い決算を出すたびに、株価は上昇するので、マスターカードの株価はこの3年間右肩上がりでした。

5年間で4倍になったマスターカード株

強いて言うなら、あまり株価が下落する機会がなかったので、割高になっていることです。さすがに、追加投資をする気にならないほど、PERは割高になっています。

この記事のポイント

  • 19年4Q決算はアナリスト予想を上回った。これで3年間で無敗。
  • 負けなしの決算を続けた結果、株価は割高になっている。PERは近年で例にないほど高い。
  • 高いPERは利益の伸びに対して、株が買われすぎていることを意味する。利益は2019年通年で20%成長したが、株価は19年で60%以上も上昇した。割高を解消できていない。

正直、マスターカードの決算について感じたことは全て「この記事のポイント」に書いてしまいました。

ここで記事を終わっても良いのですが、せっかくなので決算の数字と決算資料のスライドを読んでいこうと思います。

決算結果

2019年4Qの収益は順調に伸びました。前年同期比+16%の伸びは、なかなか順調です。

純利益は調整前の数字で前年比をみると+100%成長になってしまうので、「何が起こっているんだ」とドキっとしました。が、落ち着いて詳細を調べると、前年は訴訟費用を計上している純利益が小さくなっていたことが原因のようでした。

訴訟費用などの項目を除外した調整後純利益で見てみると+25%成長で、こちらも例年通りまずまずの出来でした。

2019年4Q結果

単位:10億ドル 4Q19 4Q18 前年比
収益 4.4 3.8 16%
(調整後)純利益 2.0 1.6 25%
(調整後)一株利益 1.96 1.55 26%

2019年通年結果

単位:10億ドル 2019年 2018年 前年比
収益 16.9 15 13%
(調整後)純利益 7.9 6.8 16%
(調整後)一株利益 7.77 6.49 20%

2019年通年では、(調整後)一株利益は20%の上昇をしています。

マスターカードはやや割高

年間で一株利益が20%も上がる企業は、シンプルに考えるなら株価も20%程度上昇することが見込めます。なので、とても魅力的な投資先に見えるのですが、今の株主はそれ以上をマスターカードにもとめているようにも見えます。

一株利益が20%上昇した2019年のマスターカードの株価上昇率は約60%です。利益よりも株価上昇のスピードが早いので、ドンドンとマスターカード株は割高になっています。

株価を一株利益で割った数字(PER)は近年にないほど上昇しています。

PERが上昇し割高になるマスターカード株

さすがに、今買うのはためらう割高感です。

「金利が低い時代では、高いPERでも割高ではない」と主張する人もいます。それは正しいですが、問題は「金利が低い時代」がずっと続く気がしない点です。

3-5年先には今の低金利の世界ではなくなっている可能性もあると思っているので、今のマスターカードには手が出しづらいです。

マスターカード決算資料振り返り

ここからは決算資料のキースライドを振り返っていきます。

早速、スライドを見ていきたいところですが、マスターカードは決算資料上の用語はわかりづらくて定評があるので、用語説明から入ります。

マスターカード決算用語

  • Gross dollar volume:マスターカーカードの決済ネットワークが処理した金額。
  • Cross-border volume:国をまたいだ決済金額。
  • Switched transaction:決済ネットワークが使用された回数。

その他、もしも分からない用語が出てきた場合には、マスターカードの公式用語資料(英語)を参照してください。

マスターカード決済金額

マスターカードの決済金額を見てみると、アメリカの決済金額比率がそこまで大きくないのが特徴です。

ここはライバルのVisaとは違う点です。Visaは4割ほどアメリカでの決済金額を獲得しています。なので、アメリカが良い2018年前後はVisaのほうが有利な状況が続いていました。

一方で、今後は長期的にアメリカ以外の国が決済金額を伸ばすと考えるなら、マスターカードはVisaよりも有利なポジションを獲得しているといえます。

決済ネットワーク利用状況

図の左はマスターカードの決済ネットワークの利用回数を示しています。+19%で順調です。

図の右はカード発行枚数です。全体としては5%成長していますが、マエストロカードが前年よりも減っているように見えるのは気のせいでしょうか。ここは私は認識不足だったので、何が起こっているのかは今後調べてみようと思います。

売上構成

最後は売上構成です。注目なのは、海外決済収入のCross-border Volume Feeです。決済業界では、海外決済が長期的に二桁成長をする成長分野だと見られているので、この収益をしっかり伸ばせていることは安心材料です。


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