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3月に売上が急減速した米マクドナルド、4月にわずかに回復も【20年1-3月期決算】

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マクドナルドの決算ですが、良くなかったですね。収益は予想を上回りましたが、利益は予想を下回る落ち込みでした。

新型コロナウイルスの影響を受けて世界のほとんどのマクドナルドでは店舗内で飲食が禁止になったので、低迷も仕方ないです。

今回の決算では絶好調だった1-2月の業績と、新型コロナウイルスが世界的に流行した3月で明暗がはっきり別れました。

この記事のポイント

  • マクドナルドの決算は利益が予想を下回った。
  • 1-2月は好調で世界の既存店舗売上成長率は7%を超えていた。しかし、欧米を中心に新型コロナウイルスの流行した3月には同成長率はマイナス22.2%に急減速した。
  • 新型コロナウイルス流行下でも世界の店舗で4分の3は開店しているが、店舗内での飲食を制限してテイクアウト・宅配・ドライブスルーに販売に絞っているため売上不振に陥った。
  • 新型コロナウイルスによる大きな売上減少は3月後半から4月も同様の傾向が続いている。ただし、売上の多くを占める米国では4月後半の2週間で復調の兆しが見えた。

厳しいことには代わりありませんが、回復の兆しも見えているようです。

欧州&カナダ&オーストラリアの米国外の主要9カ国からなる地域の4月の売上は前年比70%減少と厳しい状況が続きますが、米国では3月後半から4月半ばまで25%減を経験した後、4月後半の2週間は売上は上向き始めたと言います。

2020年1-3月期結果


マクドナルドの1-3月期の結果を見ていきます。

  • 一株利益:1.47ドルで、予想を0.09ドル下回る。(前年比マイナス15%)
  • 収益:47.1億ドルで、予想を0.5億ドル上回る。(前年比マイナス6.2%)
単位:10億ドル 1Q20 1Q19 前年比
収益 4.7 5.0 -6%
営業収益 1.7 2.1 -19%
営業利益率 36% 42%
利益 1.1 1.3 -17%
一株利益 1.47 1.72 -15%

マクドナルドはこの数四半期、売上成長率も営業利益も伸ばしていたのですが、今期はかなりのブレーキがかかりました。

またマクドナルドほどの大手レストランになると、新規出店よりも既存店で継続的に売上成長ができていることのほうが重要になるのですが、既存店舗の売上成長率も今期は急減速しました。

新型コロナウイルスの影響を強く受けたマクドナルド


今回の決算の不調だった要因は、新型コロナウイルスによる売上減少です。

決算報告で発表されたマクドナルドへの新型コロナウイルスの影響を以下にまとめました。

新型コロナウイルスの影響

  • 1-2月の売上は絶好調だった。世界のマクドナルド既存店売上は前年比7.2%増で近年でもトップクラスの成長率だった。
  • しかし、新型コロナウイルスが世界的に流行した3月に既存店売上22%減と急減速した。結果的に1-3月期の既存店売上成長率は3.4%減少に落ち込んだ。
  • 新型コロナウイルス流行下でも世界の4分の3の店舗で営業を継続しているが、店舗内での飲食を制限していることが売上不振の原因。
  • 特に3月後半の売上の減少が大きかった。フランス、イタリア、スペイン、イギリスでは70%も売上が減少した。米国でも3月後半は前年比25%の減少を記録した。

新型コロナウイルスのインパクトは数字で説明するよりも、目で見たほうが早いです。

上のグラフで「米国外主要9カ国」と書いたのはオーストラリア、カナダ、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、スペイン、オランダの9カ国です(プレスリリースでの表記は”International Operated Markets”となっています)。

米国よりも早く新型コロナウイルスが流行したイタリア、フランス、ドイツなどの影響を受けて「米国外主要9カ国」の3月の売上は急減速しています。

米国は多くの州で都市封鎖が3月後半から行われたこと、またもともと米国のマクドナルドの売上はドライブスルーが7割を占めていたこともあり、売上減少は「米国外主要9カ国」ほどではありませんでした。

米国外主要9カ国で売上が急減速した要因


「そもそも米国外の主要9カ国だけ、どうして売上70%減少のような極端な事が起こっているの?」や「欧州に続いて、マクドナルドで売上の多くを担う米国でも今後売上70%減少のような悲惨な事態になるの?」と気になる人もいると思うので、主要9カ国で売上が低迷した理由についても触れておきます。

結論からいうと、主要9カ国は世界の地域の中でも店を占めた割合がずっと高かったために、売上が低迷しています。

特にフランス、イタリア、スペイン、イギリスでは相当な数の店が閉店したため売上が前年比70%減少と悲惨な数字になっています。

米国外主要9カ国は営業が継続できた店舗が少なかった

4月30日時点 開店率
米国 99%
米国外主要9カ国 45%
その他 80%
世界合計 75%

米国ではイートインはできないものの、ほとんどの店が営業を続けてテイクアウトやドライブスルーができるので、売上は欧州ほど落ち込みませんでした。

また米国は車社会で、もともと売上の7割がドライブスルーで占めていたことも売上減少が小さかった要因になっています。

なので、新型コロナウイルスが欧州から米国の順番に流行したからといっても、欧州に続いて米国の売上までも70%減になるような事態は考えにくそうです。

4月の売上について


決算ではケビン・オズマンCFOが4月の売上についてもコメントをしていました。

4月のマクドナルド売上について

  • 欧州など主要9カ国:4月後半から一部で店舗の再開が始まっている段階で、4月はまだ3月後半同様にマイナス70%の売上減少が続いている。
  • 米国:4月前半までは、3月後半同様に前年比25%の売上減少を経験した。しかし、4月後半2週間の売上は回復の兆しが見られた。

米国は最悪期を脱したかのような、回復の兆しが出ているのは良い兆候です。

しかし、4-6月期は最悪のスタート切ったことに変わりは無いようです。4-6月期の売上は,1-3月期の既存店売上マイナス3%などの比ではない落ち込みが待っていると予想されます。

マクドナルドを投資している人は、たった数ヶ月先の決算を気にして買っている人は少数だと思いますが、4-6月期は極めて厳しい決算を覚悟したほうが良さそうです。

ちなみに、1-3月期の決算で多くの企業が「米国の売上が4月後半から回復し始めている」と言っている点は、頭の片隅に置いてても良いかもしれません。一時的な回復かもしれませんが、あとで振り返ったときに20年4月前半が最悪期だったという結果になるかもしれません。


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