今週は12日(火曜)には11月のアメリカ消費者物価指数の発表、13日にはアメリカの金融政策を決める会議FOMCがあります。
アメリカのインフレについてもう一度注目度が高まる週なので、今一度アメリカのインフレについてざっと確認をしていきたいと思います。
この記事のポイント
- アメリカのインフレは基調的には鈍化が続いている。
- また、11月は原油価格が下落したため、消費者物価の伸びも低めに出ることが予想されている。
- しかし、内訳にはまだ課題があり、サービス価格や住宅価格は物価目標の2%に向けた十分な鈍化が見られていない。
アメリカのインフレの鈍化傾向は続いている
冒頭で今のインフレについてざっと確認をするといいましたが、もっと具体的にいうと「インフレ鈍化傾向が続いているかどうか」の確認です。
それについては、ニューヨーク連銀がインフレのトレンドを分析して先週データを公開しているので見てみましょう。
上のグラフは10月までのPCEデフレータというインフレ指標をグラフ化したものです。いくつか線があるうち、青線はニューヨーク連銀がインフレ基調として算出したデータになります。
10月の最新版ではインフレ基調は2.6%を示しており、この値が下向きに下がっているということはまだこれからさらなる低下が見られそうな期待を感じます。
ぱっと見た感じ、アメリカのインフレ鈍化傾向は続いているように見えます。
11月は原油安がインフレ鈍化を後押し
上の分析はPCEデフレータというインフレ指標で行っていますが、恐らく消費者物価も同じような傾向が続いていると思われます。
今週発表される11月の消費者物価でも、インフレの伸びは比較的小さい値を記録すると思ってます。
また、11月について原油安が進んだため、エネルギー価格の低下が他のモノやサービスの価格の伸びを抑えるという動きも見られそうです。
課題は住居とサービスの価格の伸び
ただ、内訳を見てみると課題も見えてきます。
ニューヨーク連銀が発表している下図を見ると分かるように、最近のアメリカのインフレは住居やサービスが物価の伸びに寄与しているようですが見られます。
よって、これらのサービスや住居費の伸びが一段と低下する必要がありそうです。
今週12日(火)発表の消費者物価ではサービスと住居費の伸びが鈍化しているかが気になりますが、残念ながらサービスのコストの大半を占める賃金は11月に予想以上に伸びていたことがわかっているので(下図)、これらの項目で大きなインフレ鈍化は期待できません。
さいごに
まとめると、アメリカの物価は鈍化傾向が続いていて、その上11月はエネルギー価格の低下から消費者物価は低めに出ることが予想されています。
しかし、アメリカではサービスと住居費の伸びの鈍化はまだ十分に進んでいなく、11月も恐らく大きな鈍化が期待できないことから、アメリカが2%に戻るにはまだしばらく時間がかかると思われます。
もしも、消費者物価の発表でインフレ鈍化がまだまだ時間がかかりそうだと判断されれば、せっかく市場で強まった利下げ予想が後退してしまいます。利下げ予想の後退は株や債券価格にはマイナス材料です。
希望としては、次に発表される11月の消費者物価でサービスや住宅費でもインフレ鈍化の材料を見たいところです。