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安定感のあったマイクロソフトの決算【23年10-12月期】

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マイクロソフトの決算発表がありましたが、順当な結果でした。

10-12月期はアメリカ経済全体が好調だったせいもあるのか、近年落ち込んでいた個人向け製品の売上成長率も回復しています。

業績を見ていると世間で騒がれているほどマイクロソフトがAIのブームに乗って売上を伸ばしているようには見えないのですが、それでも安定感があり、特に問題のない企業だと思います。

この記事のポイント

  • 10-12月期の業績は売上も一株利益もともに予想を超える内容だった。
  • Azure(クラウド)の売上成長率に復調の兆しが見られたほか、Windows PCやXbox(ゲーム機)など前年低迷していた製品の回復が見られる。
  • 1-3月期の売上見通しは予想を下回ったものの、コストは予想ほど伸びずに株価の下落は抑えられた。

成長率の回復が続くマイクロソフト

今回の決算ですがマイクロソフトはほとんど投資家の想定通りの決算だったようです。

10-12月期の業績を見ても、いつもながら安定してアナリスト予想を超えました。

2024年度2Q 実績 予想 予想超え
一株利益 $2.93 $2.78
売上 $62.02B $61.12B

そして、成長率も着実に戻ってきています。

投資家の間で注目があつまるAzureクラウドの売上成長率がじわりと回復しているのも良い傾向です。

ですが、今回の決算で売上成長率回復の牽引役になったのは、マイクロソフトの個人向け製品だと思います。

マイクロソフトでは次の3つの分野があるのですが、その1つでPCやゲーム機などの販売を含む「モアパーソナルコンピューティング部門」の売上は前年からくらべて回復を遂げています。

  • プロダクティビティ&ビジネスプロセス部門:Word・Excel・PowerpointなどのOfficeソフト、CRM(顧客管理)製品のDynamics、LinkedInを提供する部門。主にビジネス向けのソフトを扱う。
  • インテリジェントクラウド部門:クラウドコンピューティングのAzure、Windows Server、SQL Server、GitHubなどのIT基盤製品の提供と、企業向けのコンサルティングサービスを行う部門。
  • モアパーソナルコンピューティング部門:Windows OS、Surface PC、bing検索、Xboxなど大衆向けのソフトや製品を提供する部門。

投資家の反応

決算発表直後こそ株価はわずかに上下しましたが、時間外取引での変動はわずか0.23%の下落と落ち着きを見せています。

どうして決算発表後にしばらくして最大で2%近く下がったかは、正直良くわかりません。

1-3月の売上見通しが予想に満たなかったことが影響しているのかもしれません。1-3月期の売上600億から610億ドルと発表がありましたが、この中央値の605億ドルはアナリスト予想の609億ドルに届きませんでした。

一方で、利益率はアナリスト予想を上回っていたので、総合的にみて概ね予想通りの利益が得られそうだと投資家が安心したのか、買い戻されて取引を終えています。

さいごに

この記事では、マイクロソフトの決算を見ていきました。

10-12月期の業績は予想を超え、1-3月期は売上こそ業績見通しが予想に満たなかったようですが、コストを抑えるマイクロソフトの姿勢を株主が評価したのか、株価は時間外取引での下げ幅をほぼ帳消しにしました。

多くのメディアや個人投資家が話題にしているAIブームの恩恵を、マイクロソフトのどの部分が受けているのかはっきりしない業績ではありますが、昨年まで低迷していたPCやゲーム機などが回復に向かっているのは良い兆候だと思います。

利益が予想に満たない企業がやや多いのが今の10-12月期の決算シーズンで見られている傾向ですが(先週時点で予想超えの利益を発表した企業は69%で過去5年平均を77%を下回っている)、マイクロソフトはさすがの安定感がありました。


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