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FRBのリアルタイム次世代決済システム、2015年から構想を練っていた。

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フェイスブックが仮想通貨リブラを使って、世界中で使える安価で高速な決済システム構築を目指している話をこのブログでは何度もしてきました。

そして、その次世代決済システムは、トランプ大統領とパウエル議長の激しい反対の意見にさらされて、2020年中のリリースにも遅れが生じる可能性があるとフェイスブック自身も認めています。

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しかし、この話を追っているうちに、分かったのはFRBの意外な計画でした。実はアメリカの中央銀行のFRBは、2015年からフェイスブックと同じようにリアルタイムな高速決済システムの構想を発表していました。

FRBが目論むリアルタイム高速決済システムの概要

FRBが目指している次世代決済システムの背景・目的・現状をまとめます。

  • [背景]:現在FRBが使用している決済サービス(ACH payment)は、営業時間内に1日3回だけ処理を行うもの。リアルタイムの高速処理には程遠いシステムで、他の国の技術に大きく遅れを取っているとの問題認識がある。
  • [目的]:企業と消費者がより迅速に決済を行える24時間365日使えるリアルタイムの決済システムの開発を目指している。
  • [現状1]:システムの改善計画は2015年から議論に上っている。2020年めどに実装の目標があったが、現状2020年の完成は困難とパウエル議長も認めている。
  • [現状2]:FRBの動きが遅くなり、大手銀行やIT企業が次世代決済サービスを開発して続々とライバルが登場している点が、懸念事項になっている。
  • [現状3]:FRBどのような技術が使われるかは明らかになっていない。パウエル議長は使用する技術は近いうちに決定すると返答している。

目指している姿は素晴らしいものの、問題はスピードが遅すぎること

FRB自身が認めているように、この取り組みの問題はシステムの開発を進めるスピードが遅いことにあります。もしも、当初の予定通りに2020年に次世代決済システムが利用開始できるのなら、大手銀行やフェイスブックのような企業が同じようなシステムを開発して、アメリカとして社会全体で重複のある投資が行われる様子も、少しは緩和できていたと思われます。

2015年から計画を発表して、4年が経ってから採用する技術を決めるというのも、民間企業に比べてスピード感に劣っていると言わざるを得ません。

そもそも技術の進化は激しい分野なので、ある時点でFRBが世界最高の決済システムを作ったとしても、数年経たずに画期的な仕組みのものができてしまう恐れもあります。

何年も構想を温めて練り上げるシステムでは業界の早さに対応できないため、試しにやってみるトライアンドエラーを何度も小さく繰り返して、絶えず最適なシステムを検討するスタンスでないと時代遅れになる恐れが高いです。しかし、このようなシステムの管理はかなり高度なITスキルを必要とします。

(例えば、Googleの検索で極まれにいつもと違う画面で検索結果が表示されることがあると思いますが、あれはGoogleの新機能を一部の人だけに試して反応をみるというトライアンドエラーの1種です。通常検索のシステムを残したまま、新機能検索もテストできるように高度なシステム管理をしています)

理想的にはFRBが統一的な決済システムを作るのが望ましいと思いますが、その実現のためには民間の力をフル活用しないと難しいのではと、個人的には考えています。


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