コンテンツへスキップ

失業率から景気後退の兆しはまだ見られない【22年4月雇用統計】

  • by

アメリカの4月の雇用統計が発表されました。

ただ、今は来週発表の消費者物価のほうが投資家の関心が高いのか、今回の雇用統計の発表後に特に大きく市場が動いた印象はありませんでした。米国市場は前日までの下落をズルズルと引きずる展開が続いています。

雇用統計の詳細を確認すると雇用は大きく伸びていて、まだ景気後退が迫っている印象はありません。また、(一時的かも知れませんが)賃金の伸びがやや弱まったのは良かったと思います。

この記事のポイント

  • アメリカでは4月の引き続き堅調に雇用が伸びた。失業率を見る限りは、景気が悪化する兆しはまだ何も見られなかった。
  • 2022年の賃金の伸びは高い状態が続いていたが、4月の賃金の伸びは前月よりも緩やかになり安心材料となった。

そこそこ強い雇用の伸び


4月の雇用統計の結果を見ていきます。

  • 非農業部門雇用者数:42.8万人(予想:38.0万人、前回:42.8万人)
  • 失業率:3.6%(予想:3.5%、前回3.6%)
  • 平均賃金(前月比):0.3%(予想:0.4%、前回:0.5%)

非農業部門の雇用者はまだまだ力強く伸びています。

新型コロナウイルス前には月に20万人伸びていたら雇用が伸びていたと言っていたことを思い返すと、今の雇用の伸びはだいぶ力強いと言えます。

失業率から景気後退の兆しはまだ見られない

先日、景気後退までどれくらい近いかをいろんな経済指標から多角的に見ていきたいと書きましたが、4月の雇用データからは景気後退が近づいている気配はまだありません。

例えば失業率を見ても、通常の景気サイクルであれば景気後退に向かうまでに失業率が上昇する傾向が見られるのですが、今回はその上昇がまだ始まってもいません。

先程の雇用者数の伸びと言い、失業率が底を打っていないことと言い、まだアメリカに景気後退が近づいている気配は感じませんでした。

賃金上昇はやや落ち着きをみせた


最近の雇用統計では、私は平均賃金の上昇をいつも以上に気にしています。この賃金の伸びが高い状態が続くと、インフレが高い状態で長続きしてしまうからです。

今月の平均賃金の伸びですが、最近の高い伸びに比べると少し落ち着いたようにも感じました。

上の結果では前月比+0.3%と伝えましたが、これは年率(1年間同じペースで伸びた場合の上昇率)+3.8%に相当します。2022年1月から3月までの伸びが年率5.8%だったので、4月の賃金の伸びは前の3ヶ月よりも少し弱まったように思います。

しかし、それでもまだまだ賃金の伸びは高いです。コロナ前の2017年から2019年は賃金の伸びが年間で3%前後だったことを考えると、22年の4月の伸び(年率+3.8%)ですらまだ賃金の伸びは強いと言えます。

また、4月はたしかに前月よりも賃金の伸びが緩やかになった印象ですが、平均賃金は月によってブレがあるので一時的な動きかもしれません。

もしも平均賃金の伸びが高い水準を維持するようになると、消費者物価の上昇が長続きすることになるので、今後とも注意してみていきたいと思います。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。