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6月のアメリカ雇用統計で気になった点

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ここでは6月のアメリカ雇用統計について書いていきます。

おそらく多くの投資家はすでにニュースなどで主要な数字を確認していると思うので、気になったところを中心に書いていきます。

この記事のポイント

  • 平均時給の伸びが高かった。パンデミック前よりも高水準が続いており、利上げ7月利上げと金利高止まりを正当化する内容だった。
  • 非農業部門雇用者数の増加の30%近くは政府の雇用だった。民間企業の雇用増加のペースは失速している。
  • 失業率は前月よりも低下した。アメリカのリセッション入りの時期はわずかに遠のいた。

賃金の上昇率は高止まり

6月のアメリカの雇用統計の数字を眺めてみます。

  • 非農業部門雇用者数:結果:20.9万人(予想:22.9万人)
  • 失業率:3.6%(予想:3.6%)
  • 平均時給:前月比+0.4%(予想+0.2%)

今までの雇用統計では非農業部門雇用者数が予想より多く、平均時給が予想より低い傾向が続いていた気がするのですが、今回はその傾向が反対になりました。

この中で一番気になったのは平均時給の伸びです。今月はやや大きめの伸びを記録し、前回のデータにも上方修正が入りました。

せっかく緩やかながらに賃金の伸びが鈍化していたのに、今回と前回の上方修正が入ったことで、少し暗雲が立ち込めた気がします。

次のグラフは、前年同月比のアメリカの賃金の伸びですが、最近は4%半ばで賃金の伸びが横ばいになっていることがわかります。

4%半ばの賃金の伸びはパンデミック前と比較しても1%程度高いです。これではインフレはパンデミック前の2%よりも高い水準に高止まりすることになるので、7月のさらなる利上げとその後の金利高止まりを正当化する内容になったと思います。

とっても投資家にとっては残念なことですが、2024年5月まで利下げはないという厳しい内容になっています。

リセッションには近づいているが、ペースはかなり遅い

賃金以外の雇用者数と失業率については、同じメッセージを送っていると思います。「アメリカはリセッションに向かっていはいるが、そのペースはとてもゆっくりだ」というものです。

今回の非農業部門雇用者数は20万人増でまだまだ雇用が強いことを示すような数字になりましたが、内訳を見ると政府関係の雇用の増加が多かったので、それを除くと民間企業だけでは14万人台の増加となり、そこまで雇用が強いわけではなかったようです。

民間企業だけにしぼって雇用増加を見ると、ゆっくりとではありますが、雇用増加のペースは鈍っています。

リセッションが遠のく失業率の微減

最後に失業率についてですが、こちらはわずかに増加となったことでアメリカのリセッション突入時期が遠のきました。

サームルールというリセッション突入の基準を使うと、今のアメリカでは3ヶ月間の平均失業率が3.9%を超える必要があります。現時点で3ヶ月の平均失業率は3.57%なので、まだまだリセッション突入までには何ヶ月も時間がかかりそうです。

実は、前回の5月の失業率は3.7%と一時的とは言え高く、6月もわずかでも上昇していればリセッションに近づいたのですが、そうはなりませんでした。

まとめ

色々と書いたので、最後に話をまとめます。

賃金の伸びは高止まりが続いているので7月の政策金利の引き上げは確定的となりました。また、現段階では市場は2024年5月にならないと利下げが始まらない予想で、これはまだまだ長い期間で金融引き締めが続くことを意味しています。

民間企業の雇用増加は減少していますが、そのペースはゆっくりです。失業率も増加していてリセッションには向かっていますがペースが遅いので、アメリカのリセッション突入まではかなりの時間がかかりそうです。


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