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アメリカの地銀は今も金融引き締めに苦しんでいる

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毎月1日は前月の振り返りの記事を書いているのですが、少し気になったことがあったので内容を変更します。

前日、FRBの米銀支援策が3月から新規受付停止をするという話をしたときに、これからも中小規模の銀行の破綻はまだ起こるだろうという話をしました。

それから数日しか経っていないのですが、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の決算が想像以上に悪い決算を発表して、同行の株式投資家が肝を冷やす場面がありました。

内容を見てみると、金融引き締めが中小銀行を苦境にしている背景も見られるので、こうしたケースが増えれば金融政策の緩和が早まる可能性もあるのではと考えてしまいます。

この記事のポイント

  • ニューヨークコミュニティバンコープの決算では、予想外の赤字を計上して減配を発表した。
  • NYCBの株価は一時40%超えで下落するなど投資家は大きくリスク回避に動いている。また格付け会社のムーディズは格下げ方向で見直すと発表した。
  • 金融引き締めが地銀に負荷をかけている状況は続いている。損失を出す地銀が増えれば、金融緩和は少し早く始まるかもしれない。

一時期40%急落したNYCB株

1月31日にNYCBの決算発表がありましたが、予想外の赤字と減配を発表しました。

この良くない知らせに投資家はいち早く反応して、一時期40%を超える株価の急落が起こりました。この規模の下落なら、もはや投げ売りの状況です。

赤字の転落の原因は、多額の貸し倒れ引当金を損失として計上したことです。

(※貸し倒れ引当金とは「貸したお金が返ってこない場合にそなえて資金を蓄えておくもの」で、損失して報告します)

決算資料を見ていると、確かに3ヶ月前(9月時点)や前年にくらべて急激に貸し倒れ引当金が増えています。

今回の貸し倒れ引当金の急増の背景はいくつかあるようです。

1つには、オフィス物件などの債権で貸し倒れ引当金が積み増されていることで、前年から続く厳しい金融引き締めが響いているようです。

また、去年破綻したシグネチャーバンクの預金を買い取って資産規模が大きくなり、金融当局の規制が厳しいグループの仲間入りをしたことで、損失に備えた体力強化をしなければならなくなった(だから貸し倒れ引当金を積みます必要が出た)という事情もあるようです。

NYCBのジャンク債格下げも視野

この決算があってから、すぐに格付け会社のムーディズがNYCBの格下げ方向で見直すと発表がありました。

米地銀NYCBジャンク級に格下げも、不動産リスクで-ムーディーズ(ブルームバーグ)

残念ながら、ジャンク級(投機的格付け)に引き下げられる可能性もあるようです。

さいごに

今回の件は、NYCB株を持っていて悲惨だったとか、持っていなくて良かったという話にとどまらないと思います。

NYCBが赤字を出している背景には、オフィス不動産の不況があり、その要因は金融引き締めです。

今のアメリカは金融引き締めでインフレを抑えつつ、アメリカが政府が赤字財政で支出して雇用や消費を支えて、この絶妙なバランスでうまくソフトランディングを果たすのではないかという考えが投資家にあります。

>>【関連記事】強かった2023年のアメリカ経済と背景にある米政府の存在

しかし、金融引き締めの悪影響をもろに受けている地銀は、すでにだいぶ苦しい状況にあるように見えます。

2023年3月に銀行支援策を打ち出した頃は、地銀の経営が苦しくなるよりも先に景気が悪化するだろうと思っていましたが、1年経って銀行支援策が打ち切られることが決まった今では、景気よりも地銀が先に持たなくなる可能性も出てきました。

同じ日にFOMC(金融政策を決める会議)を終えたFRBは、アメリカ経済は堅調に拡大を続けていてインフレが2%に戻ると確信するまで利下げをしないという旨の声明文を発表していますが、経済だけ見て金融政策を決めると足元をすくわれるかもしれません。

そうなれば、予想よりも少し早く金融緩和が始まる可能性があるかもしれません。


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