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原油価格18%急騰。石油施設への攻撃受け、サウジアラビア生産能力は半減。

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週明けの原油価格は18%急騰

14日、サウジアラビアの国営会社サウジアラムコの石油施設の2箇所がイエメンの武装組織から無人機(ドローン)攻撃を受けました。

この影響は週明けの市場で早くも、影響が出ています。石油の生産拠点がやられれば、供給量が減るので原油価格が上がりやすくなります。ダメージを受けた原油は世界の生産量の5%ほどですが、ロンドンで取引されている原油価格は18%急騰しています。

実害以上に市場が反応しているのは、中東情勢の不安定化を懸念してのことでしょうか。不安はいつも、現実よりも先行してしまいます。

世界の13%の石油生産量を誇るサウジアラビアの生産能力が半減

このニュースは注目される理由は、サウジアラビアの石油の生産能力の半分が影響を受けるということです。

原油急伸、過去最大の値上がり-サウジ攻撃に伴う供給減少で円も上昇(ブルームバーグ)

サウジアラビアの石油の生産シェアは世界で13%を占めますが、今回の攻撃でその半分の約5%分が影響を受けるとも言われています。

2018年順位 産油国 シェア
1 米国 15.0%
2 サウジアラビア 12.9%
3 ロシア 12.6%
4 カナダ 5.7%
5 イラク 5.1%

世界の原油(石油)生産量 国別ランキング・推移(GLOBAL NOTE)

そして、今回の事件で攻撃を受けた施設ですが、復旧までにどれだけ時間がかかるのか、注目したいと思っています。

エネルギー産業は特に私の専門でもないので、このへんの感覚にはあまり自信が無いですが、一緒に仕事した石油関連企業の人から聞くのは、定期点検のような年1回の予定された運転停止ですら、運転再開するまで数ヶ月かけると言います。今回は設備から何箇所も煙が上がっていて被害が広範囲に渡っているので、数年はサウジの生産量に影響を与えるかも知れません。

もしくは、日本と違ってテロなどの攻撃にある程度なれている中東なので、意外にも早く復旧するかも知れません。中東の情勢不安も含めて、どの程度長い期間この影響が続くかが、気になります。

世界景気の緩やかな拡大を支えてきた安い原油価格

すごくミクロな見方をすれば、原油価格が上がれば、石油会社の収益はあがると見ることはできます。しかし、経済全体は安定した安い石油価格のほうが経済発展が見込めるので、やはりこの事件は、経済にマイナスに響きます。

この事件自体は、石油生産能力の5%ほどしか影響を受けないので、(サウジの被害は甚大でも)世界的に見れば大したものではない気がしますが、むしろこれを期に、中東の治安や政治の不安などが起きると、5%以上の原油価格に影響が出てきてしまいます。(そして現に原油価格は大きく反応しています)

2019年は貿易や政治など多方面に渡って、本当に争い事がつきないです。


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