最近、アメリカの消費が低迷しているかもしれないという話をしています。一方で、今週のアメリカのセールはそこそこ好調だったというニュースも聞こえてきます。
消費はいいのか悪いのかどっちなんだと言いたくなりますが、恐らくまだ余裕がある世帯ともう余裕がない世帯で二極化しているものと思われます。
この記事のポイント
- アメリカの消費は全体的に11月から落ち込んでいる傾向が見られる。
- しかし、今年のホリデーシーズンのオンライン消費は悪くない数字を記録している。
- 消費の低迷は一辺倒には起こっていない模様。アメリカの消費は余裕のある層とそうでない層で二極化している。
オンライン消費は好調か
先日から書いているようにアメリカの消費が、11月から失速している兆候が見られます。
しかし、サンクスギビングデーの1日の売上については、オンラインショッピングを中心に悪くなかったという声も聞こえ始めています。
>>メーシーズCEO、感謝祭はオンラインショッピングが好調だった(ブルームバーグ)
アドビのデータでは今年のホリデーシーズンのオンライン消費は前年比+6.8%で悪くないです。サンクスギビングデー当日だけの売上は前年比+5.5%にまで下がりますが、そこまで悪い数字とも思えません。
>>米感謝祭の消費支出額は56億ドル、オンラインへのシフト継続(ブルームバーグ)
もちろん、オンライン消費は好調でも実店舗での売上が調子を落としている可能性はあります。その他のデータで消費が落ちていないかなど確認する必要がありそうです。
しかし、心配されたサンクスギビングデーの週の売上の第一報としては悪くなかったと思います。
消費者の二極化
データによって、11月の消費に好調や不調が別れている要因はなんでしょうか。
気にかけておきたいのは、先程も言ったようにホリデーシーズンで好調が伝えられたのはオンライン消費で、その他の消費はまだわからないという点です。
そして、もう一つのこれからデータを見るときに注意しないといけなそうなのは、「余裕のない消費者」と「まだ余裕がある消費者」で二極化が進んでいるという点です。
次のグラフは、クレジットカードの延滞率を示したのです。
余裕のある消費者を多く抱える大手銀行のクレジットカード延滞率はまだ低い水準にとどまっているのですが、小規模銀行の延滞率は大きく上昇しています。
特に小規模のクレジットカードの延滞率は世界金融危の水準をすでに超えていて、良くない兆候が見られます。
というわけで、「余裕のない層」が色濃く現れるデータでは消費の低迷が鮮明になり、「余裕のある層」が色濃く現れるデータなら消費はまだまだ堅調に見えるという傾向も見られそうです。
ホリデーシーズンのオンライン消費がどういう理由で好調だったのかは、まだデータ不足でわかりません。
「余裕がある層」は普段通りに消費をして、「余裕のない層」は普段の買い物を控えてサンクスギビングのセールの時期に合わせて消費をしたのかもしれません。
とにかく、11月から一斉に消費が鈍化したというわけではないようです。もう少しだけ消費の傾向をいろんなデータで見てみたいと思います。