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戦争とドル高がなければ好決算のペプシコ【22年4-6月期決算】

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ペプシコの2022年4-6月期の決算が発表されました。ペプシコの株を持っていない人、これからもこの株を持つ予定がない人でも次の2点だけ抑えてからページを閉じると良いと思います。

「2022年4-6月期に業績は(たぶん他の企業でも)それほど悪くない」と「値上げが機能して利益見通しを維持できているうちは、株価はまだ大丈夫」という事です。

この2つは恐らく、別の企業でも見られると思います。

ただ、値上げで利益が確保できる段階ならまだ良いですが、いつ利益見通しがが崩れるかが今後の数四半期の注目ポイントになるはずです。

この記事のポイント

  • 2022年4-6月期のペプシコは(為替も戦争の影響も除けば)売上も利益もともに予想を上回った。
  • 2022年度の売上見通しは引き上げられたが、利益見通しは据え置かれた。
  • 今は値上げが成功して利益を確保できているが、いつ値上げが機能しなくなるかはペプシコに限らず多くの米国企業で注目のポイントになる。

予想を上回る業績を残したペプシコ


4-6月期のペプシコの業績は、一見すると予想よりも良かったように見えます。

  • 調整後一株利益:$1.86(予想$1.74)、前年比+10%
  • 売上:$20.23B(予想$19.51B)、前年比+5%

ちなみに、上で書いた一株利益1.86ドルは調整後の利益です。

「ロシアとウクライナの戦争の悪影響」と「ドル高の悪影響」などの特殊な要因を除いた場合の利益です。調整しない場合には、一株利益は$1.03(前年比マイナス39%)まで下がるので、やや悲惨な状態になっています。

以下では、最近のペプシコの売上と調整前の営業利益をグラフにしたものです。最近は売上はそれほど悪くないのに、営業利益が低調なのがわかります。

恐らくこの傾向は、ペプシコ以外の4-6月期決算で多く見られる傾向だと思います。

2022年4-6月期のアメリカ経済はインフレで個人消費が伸び悩んでいるという話は聞きますが、ペプシコのように調整後の利益で業績を発表する場合には「予想超えの決算」を発表する企業はまだ多いと思います。

ただ、ペプシコの決算では調整している額が大きいのが少し気になりました。

これではアナリストの予想超えの好決算というよりも、「戦争もドル高もなかったら業績は良かったのにな」という印象です。

値上げが支えている業績


売上金額だけ見ていると、今回のペプシコはかなり堅調です。

しかし、もう少しだけ数字を詳しく見てみると値上げが支えていることも見えてきます。

次の表を見ると、北米やラテンアメリカで売上金額は成長しているのに販売数量があまり伸びていないことがわかります。

この現象は値上げをしたために起こっています。製品の値上げで売上成長はできたものの、販売数量の成長は伸び悩んでしまったようです。

売上見通し引き上げでも利益は据え置き

そして恐らく値上げで業績を支える動きは、これからも続きます。

今回の決算発表でペプシコは2022年度の売上見通しを引き上げましたが、利益見通しは据え置きました。

  • オーガニック売上の見通し:前年比8%から10%に上方修正。
  • 調整後一株利益の見通し:前年比8%のまま据え置き。

業績見通しが引き上げられたのは、一見すると良いニュースです。しかし、売上見通しが引き上げられたら、利益の見通しも引き上げられるのが自然です。

それが起こっていないところを見ると、インフレによる人件費や原材料のコストの上昇を相殺して、利益を確保するために値上げがあるのかなと考えてしまいます。

とは言え、値上げが機能している今はまだ大きな問題はないです。真に問題になるのは値上げをしても利益が確保できなくなる時期で、そういう状況が今後数四半期で起こらないかが、注目になると思います。


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