6月からアメリカでは、FRBが大量に保有している債券を処分していく量的引き締めと呼ばれるタイプの金融引き締めが始まりました。
今のところ6月分の量的引き締めは無事に乗り切ったように見えます。国債はほぼ予定通りの規模が処分されて、その資金が市場から回収されましたが、目立った混乱は見られませんでした。
今のペースの資産縮小で問題が起こらないなら、次に気をつけるべき時期は資産縮小ペースが倍になる9月、特に9月30日以降になると思います。
この記事のポイント
- FRBが保有する国債は、6月に約270億ドル減った。
- 今の量的引き締めでは国債は最大で毎月300億ドル減る計画なので、ほぼ予定通りの規模で金融引き締めをしてたことになるが、今のところ市場に混乱は起きていない。
- 次に警戒が必要なのは、量的引き締めの規模が倍になる9月。
6月の量的引き締めを無事に通過
まず、6月から始まった量的引き締めの内容をおさらいしておきます。
量的引き締めの内容
- 22年6月からは償還された国債のうち毎月300億ドルまでは、再投資をしないで市場から資金を引き上げる。(9月からは600億ドルに増額)
- 同じく償還された毎月175億ドルまでの不動産ローン担保証券も、再投資しないで市場から資金を引き上げる。(9月からは350億ドルに増額)
国債は毎月300億ドル分までが償還されて市場から資金が回収されるのですが、6月はさっそく国債270億ドル分の資金が回収されたようです。
次の図はFRBの国債の保有額の変化をグラフにしたものですが、6月から7月にかけて270億ドル減っています。
国債270億ドルの規模について
「国債270億ドル分の資金を回収」と言っても漠然としていてイメージでないかも知れませんが、かつて2018年末に金融引き締めをしすぎて株価が急落した時期の国債の資金回収がほぼ同じ規模でした。
なので、22年6月はかつて株式市場に混乱が起こった規模の国債の処分を乗り切ったことになります。
22年6月は住宅ローン債券の償還はほとんど進まなかったという事情はあるにせよ、不安材料が一つ消化できたことになります。
次の不安材料は9月
このまま6月のような調子で7月8月も乗り切ってくれるなら、次の警戒は9月に移ります。
上にも書きましたが、9月には国債も住宅ローン債券も量的引き締めの規模が2倍に膨れ上がるからです。
もう少しだけ詳しくいうと9月1日から警戒するだけではなく、国債の処分が発生する15日か末日(30日か31日)を過ぎて市場が混乱しないかを見るのが良いかも知れません。
また、今回6月の様子をみても、傾向として15日よりも月末のほうが国債保有額が大きく減ることが多い点も知ってと良いかも知れません。