量的緩和について考えたこと。日米欧の経済を見て感じたこと。

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2019年7月にFRBは10年ぶりの金利引下げについに動きました。

アメリカはまだまだ金利引下げ余地はありますが、いずれ金利もゼロになれば国債を大量に購入する量的緩和も再開される見通しです。また、ヨーロッパや日本はすでに政策金利がゼロなので、もしこれから手を打つなら量的緩和を実施したり、規模を拡大させる動きに出るでしょう。

歴史的にはなかなか採用されてこなかった量的緩和策は、当初は「非伝統的手法」なんて言われてましたが、もうそんな形容詞も似合わないくらい、日本では長いこと実施されています。

せっかくなので、世界の中央銀行が量的緩和を次々と再開する前に、ここで一度「量的緩和は本当に効果があったのか」「何に効果があったのか/なかったのか」、今までの日・米・欧の取り組みから、わかったこと・考えられることをまとめておきたいと思います。

ちなみに、この記事を本気で書くと、超長文で誰も最後まで読まない文章が余裕で出来上がるので、箇条書きで思ったことをツラツラと書くスタイルにしました。

賛同できる箇所もあれば、「ここは自分の考えとは違うな」と思う箇所も多数あると思います。読み終わった後に「そういう考えもあるが、自分は〜」とさらにご自身で考察する材料になってくれれば、嬉しく思います。

それでは、はじめます。

そもそも量的緩和とは

量的緩和は、日銀などの中央銀行が金利をゼロまで引下げた後、さらなる景気刺激策を求めて、世の中のお金の回りを良くするために実施されました。もうちょっと具体的には、中央銀行が銀行から国債を大量に購入して、銀行に大量の資金を供給する手段にでました。

銀行の資金が多くなれば、そのぶん企業などに貸し出せる上限金額も増えます。お金を借りる企業は設備投資を増やして世の中の景気を良くしたり、その結果として各世帯にも給与としてお金が回るはずでした。

日本の金融政策からわかったこと・考えたこと

企業や世帯などの民間には、期待したほどお金が回らなかった

  • 日銀は、他の国に比べても大量に国債を購入しました。でも、結果論からすると、銀行から企業への貸し出しは想定通りには増えませんでした。その理由は恐らく、銀行の貸し出せる余力は数倍に増えても、資金を借りたい企業も数倍に増えなかったためです。
  • 設備投資をしたい企業は一定数増加したが、少なくとも一般世帯に給与としてお金が回るまでの力強さではなかった。

投資家や資産家は潤って、個人間の格差が生じた

  • 一方で、資産家は量的緩和で一定の恩恵を受けました。まず最初に見られた現象は円安です。緩和的な政策は円安になるため、円安で恩恵をうける輸出企業の株が上がりました。また住宅ローンが借りやすくなったため、住宅の購入が活発化して、土地や住宅価格が上がり、資産家層は豊かになりました
  • この結果、資産を持つ者と持たない者で格差が生まれました。

一般人にお金が回る工夫として、景気支援策が必要だった

  • こうした格差の状況に対処するには(民間企業やその先の各世帯にお金を供給するためには)、銀行の貸し出し以外に、企業や個人にマネーを送る経路が必要だったようです。
  • 例えば、積極的な政府の景気刺激策などです。低所得者への減税、公共事業やオリンピック向けの施設建造でもいいですが、がん研究への投資、自動運転開発、企業へのAI事業推進、宇宙開発など次世代につながる投資で経済を活性化できれば、今後の経済の活性化につながってベターでした。
  • 2019年7月のウォール・ストリート・ジャーナルでは、「日銀に残された手は、アベノミクス第2の矢の積極的な景気刺激策だ」との主旨の記事がありますが、私はそれに賛成です。

日銀の量的緩和から考えたことのまとめ

  • 量的緩和を実施すれば、資産家の資産増加と、銀行から企業への融資がほんの少しだけ増加することがわかりました。でも(少なくとも日本では)一般人の収入増加につながるような、末端まで浸透する強いお金の流れは起こりませんでした。
  • 一般人の収入増加につなげるためには、景気刺激策が必要でした。過去に金利がゼロまで落ち込んだ1930年代にアメリカが、財政赤字が拡大しても公共事業(ニューディール政策)をして民間にお金を供給したのと同じ考えです。
  • なお、日本は景気刺激のためには、その財源として増税をする必要もない可能性があります。債務比率が日本より低いギリシャが事実上の破綻をしても、日本はまだ健全なことから、恐らく「日本円で国債を発行している限り、財政は破綻しない」という説は本当である可能性が高いです。(ギリシャはIMFの管理化におかれるまでに財政が悪化しましたが、それは自分の国でユーロを自由に発行する権利がないため)

アメリカの量的緩和がうまくいった背景

  • サブプライムローン・リーマンショックの激震地だったはずのアメリカが、先進国で最も量的緩和を早く終わらせることができた成功者だった。量的緩和の効果が一番高かったのは、日本やEUに比べて民間にお金が流れやすい環境だった可能性があります。
  • 量的緩和で銀行が手にした資金を、借りたいと考える野心的な新興企業(主にシリコンバレーやニューヨークを中心としたIT、フィンテック、バイオ関連の新興企業)が他の国よりも多く存在していました。これらの企業がどんどんと大きくなったことで、給与として世帯収入がアップする仕組みがあったことが考えられます。
  • また、アメリカは日本やヨーロッパに比べて、一般人の株保有率が高かったため、量的緩和による資産増加の恩恵を、一般人も受けやすかった可能性があります。

今後の世界各国の量的緩和について

  • しかし、サブプライム・リーマンショック後にはうまく言ったアメリカの量的緩和も、今後は効果が薄れる可能性があります。それはアメリカといえども、量的緩和の拡大スピードが大きければ、民間企業が借りたい需要が追いつかない日本のような状態になる恐れがあるためです。
  • そうなった場合アメリカも、日本も打開策は恐らく、財政支出を増やすことです。今は両国とも財政健全化を進めようとする動きがありますが、1930年代に教訓にならえば、健全化とは逆の赤字覚悟で、民間に資金を供給する決断が必要になりそうです。
  • また、財政赤字を拡大して政府の支出を増やす時に、もっとも問題が起こるのはEUです。EUの各国は自国でユーロ発行権限を持たないのので、財政赤字を拡大できる余地がかなり少ないです。無理に拡大させようとすれば、ギリシャの二の舞になり破綻します。
  • ヨーロッパで警戒が必要なのは、債務残高が高いギリシャ、イタリア、ポルトガル、フランス。この辺りでしょうか。(世界の政務比率はこちらのサイトを参照)

以上、長くなりましたが、以降の日米欧の中央銀行で、ポイントになる動きは以下です。

  • 量的緩和の効果が薄くなる現象がアメリカで見られるかどうか。そうなった時に、財政赤字の拡大を容認して、景気刺激策を打てるか。
  • 日本は増税ではなく、赤字財政拡大をさせても(減税も含む)効果的な景気刺激策で、民間に資金を供給できるか。
  • EUは単一通貨のユーロをやめることができるかどうか。止めない場合には、せめて財政難の国だけでもユーロを自国通貨の2つ使える体制に移行できるかどうか。世界にはドルと自国の通貨両方が使える国があるように、ユーロの他に自国管理通貨をもたせて、金融政策の幅をもたせる必要がありそうです。

以上は、すべて私個人の考えです。この記事が、読者の方の考えを深める材料になってくれればと思います。