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アメリカ小売売上高にリセッションが近づいているシグナル

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アメリカの4月の小売売上高が発表になりました。

4月のデータを見てみましたが、消費は鈍化傾向が続いている気配を感じます。

また、少し気になるのはインフレを除いた実質小売売上高です。ここ数ヶ月マイナスが続いていて、しかも毎月マイナス幅が大きくなっています。

過去にこうした動きが見られたときには景気後退が見られているので、アメリカの消費も既にそれほど強くないのだろうと感じる内容になっています。

  • 4月のアメリカの小売売上高は予想を下回った一方で、前月分は上方修正されてまちまちな結果になった。
  • 前年比で見ると小売売上高の伸びが鈍化している傾向は続いている。アメリカの消費は弱まっている。
  • インフレを除いた実質小売売上高の伸びはかなり悪い。過去に景気後退が起こった時期と同程度の弱さにまでなっている。

鈍化が続くアメリカの小売売上高

今回の小売売上高は4月分が予想を下回り、3月分は上方修正されるという強弱入り乱れた結果になりました。

  • 予想:前月比プラス0.7%
  • 結果:前月比プラス0.4%
  • 前回:マイナス1.0%からマイナス0.7%へ上方修正

これだけ見るといまいち結果が良かったのか、悪かったのかはハッキリしません。前月比のデータを見ても、方向感に欠けます。

もう少しだけ大まかなトレンドを捉えるために、前年比の成長率をグラフにしたものを見てみたいと思います。

それがこちらです。

こうしてみると、アメリカの消費が鈍化している様子が見えるのではないでしょうか。この前年比のグラフが示すように、私はアメリカの消費は鈍化が続いていると思っています。

小売売上高にはサービス売上があまり多く含まれていないので、実際にはサービスの好調を考慮するとアメリカの個人消費はまだもう少しだけ調子が良いはずですが、それでも鈍化傾向には変わりないと思われます。

心配な実質小売売上高の低迷

私はまだアメリカの景気後退には数ヶ月かかると思っているのですが、少し危ういシグナルが小売売上のグラフに見られるので、最後に確認したいと思います。

次のグラフはインフレの影響を除いた実質小売売上高の伸び(前年比)を示したものです。

このグラフがややマイナスに振れすぎているのが気になります。インフレを除いた実質で、これほどまでにマイナスになるとそろそろ景気後退が近いことを意味します。

例えば、過去20年間の様子を見ると、実質小売売上高の前年比が安定してマイナスを記録しはじめた頃には景気後退に突入しています(下図)。

今回は既に3ヶ月連続で実質小売売上高がマイナスに低迷していて、さらにそのマイナス幅も毎月深くなっています。

そろそろアメリカの景気後退が近いかなと思わせるような兆候が出てきているのはどうにも気になります。


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