1月の小売売上高は予想外にマイナス成長となりました。
昨日の記事でも書いたようにクレジットカードの支出を見ていると1月も2月も消費は堅調に見えたので、この結果は少し意外でした。
この記事のポイント
- 1月のアメリカ小売売上は予想外に大きな前月比マイナス成長になった。
- 詳細にデータを見るとモノの消費は伸び悩んでいる一方で、レストラン(サービス)は大きな伸びが続いてる。
- 堅調なサービス消費の影で、モノの消費が低迷し始めた。
低迷した1月のアメリカ小売売上
1月の小売売上高の結果を確認してみると、予想外かつ大きなマイナス成長を記録しています。
- 前月比:マイナス0.8%(予想0.1%、前回0.6%から0.4%に下方修正)
- コア前月比:マイナス0.6%(予想0.3%、前回0.4%)
自動車部門を除いたコアの数字でもマイナスを記録しているので、1月は全般的にモノへの消費は低迷していたようです。
以下では、小売売上高の前年からの伸びをグラフにしてみましたが、12月までは前年比5.3%とかなり順調な伸びを示していたところに、今回の結果が加わったことで成長率は前年比0.6%にまで低下しています。
付け加えると、このデータはインフレ込みの値(名目値)です。
よって、インフレの除いた実質の成長率では、さらに悪い数字になっています。
データの読み方
なんだか、悪い話ばかりしましたが、ここで一旦落ち着いて整理しましょう。
BEA(商務省経済分析局)が発表していたクレジットカードの使用量を使った推計値では、1月も2月もアメリカの消費は好調でした。
しかし、今回取り上げた小売売上高では1月は大きく消費が低迷しています。これは何を物語っているのでしょうか。
どちらかが間違っている可能性もありますが、どちらも正しいと仮定してもっと詳細を見てみると別の見方ができます。
まずは、小売売上高の詳細な売上前月比を見てみましょう。
ほとんどの業界で12月よりも1月のほうが売上成長率が悪化している一方で、レストランだけが1月に売上を大きく加速させています。
実は小売売上高ではほとんどの売上がモノが占めているのですが、レストランだけはサービスの売上になっています。つまり、1月の小売売上の低迷はモノの売上不振を示していて、サービス売上はまだ堅調なのかもしれません。
モノの消費は低迷が見られますが、サービスの消費が旺盛でクレジットカードの使用量も伸びていたとすると、クレジットカードの使用量をもとにしたBEAの消費推計値では1月も2月も消費が好調な一方で、モノの消費に大きく左右される小売売上が1月に低迷していたのも納得できます。
まとめると、次のようなことが言えると思います。
- アメリカではモノの消費が低迷している。一方で、まだサービスの消費は拡大が続いている模様。
- モノの低迷とサービスの好調のどちらの綱引きが勝つかは、月末発表される個人消費支出という経済指標で確認する必要あり。
色々言いましたが、2023年まで続いていた消費の強さは、モノの消費に陰りが見えたことで盤石ではなくなったかなと思います。
まだサービスの消費が強いのでアメリカの景気後退までは時間がかかると思いますが、2024年はソフトランディングありきで考えないほうが良いだろうと思っています。