近年のFRBは必死に金融引き締めをしてきました。
しかし、それにも関わらずまだしぶとくアメリカの一部にはごく金余りが見られます。その金余りの存在は「リバースレポ」という金額になって現れています。
ただ、ようやくリバースレポの金額になって現れてる金余りも残り半年程度でゼロになるかもしれないところまで来ています。
この記事のポイント
- 世の中で行き場を失っている現金を、FRBはリバースレポという仕組みを使って吸い上げている。
- そのリバースレポの金額が2023年4月以降に急激に低下している。今のペースであれば、2024年5月にもリバースレポはゼロになる。
アメリカと金余り
2023年の話をする前に、2021年頃から発生したアメリカの金余りについて少し話をしたいと思います。
2020年は新型コロナウイルスで経済が止まってしまうのを防ぐために、アメリカ政府は大規模な景気刺激策を打ち出し、FRBは金融緩和をしました。
最初こそ良い結果を得ていたのですが、2020年だけでなく2021年にもアメリカ政府が国民に現金給付を行ったためにアメリカにドルがバラまかれてインフレになったのは、みなさんよく知っているとおりです。
そこで、FRBは2020年から続く大規模な緩和をする一方で、2021年からは余分なドルを市場から吸い上げる操作(リバースレポと呼ばれるもの)を大規模に実施していました。
以下のグラフは、FRBが実施しているリバースレポの金額の推移です。2021年から金余りが発生したことで、リバースレポの金額が急激に増加したことが確認できます。
急激に規模の縮小が進む2023年のリバースレポ
同時に上のグラフを見ると、最近はリバースレポの金額が急速に低下していることにも気づきます。
この減少があまりに急で、ゼロまで低下する日もそう遠くない印象すらあります。
気になったので、このペースが続くといつ頃にリバースレポがゼロになるのか調べてみました。手元で回帰分析をしてみると、2024年5月にもリバースレポはゼロになるようです。
リバースレポの目的だった世の中の金余りの解消は、2024年5月には終了することになりそうです。
これが何を意味するかと言えば、金融引き締めの一つのマイルストーンにはなると思います。
ダラス連銀総裁はリバースレポがゼロになるまでは量的引き締めを続けると言っています(ロイター参照)。
もしも、2024年5月頃にリバースレポがゼロになり、そのときにアメリカのインフレが2%をめがけて下がっているなら、量的引き締めの終わりが見えてくる可能性があります。
さいごに
最後にリバースレポがゼロになる2024年5月というタイミングについてです。
偶然かもしれませんが、コロナ流行時に蓄積したアメリカ人の余剰貯蓄がなくなるタイミングも2024年5月が予想されています。
この時期になれば、今以上に消費するお金が少なくなっていると思われます。
消費の弱まりという観点でも金余りの解消という観点でも、FRBの金融政策を見直す時期が2024年5月頃に来そうな予感はします。