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投資家がとるリスクとリターンは経験で変わっていく。

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色んな人の投資の体験談を聞いていると、似たような経験をたどっている人がいることに気づきます。

「投資をはじめて数ヶ月から数年後にリスクをとってより多くのリターンを狙いに行くようになり、もしもそこで失敗した場合は、狙うリターンを少し下げてでも安定してリターンを取りに行く」という道をたどっていると人が、比較的多いように感じます。

私の投資経験もまさにこのパターンをたどりました。

私のまわりだけこのような投資家が多いだけで、一般的な投資家の傾向ではないのかもしれませんが、リスクとリターンの考え方の移り変わりのパターン例を、具体例も含めてこの記事で書いていきたいと思います。

投資家のリスクとリターンの移り変わりパターン

    【STEP1】:投資初期は慎重に投資をする。投資を初めてみた状態。
    【STEP2】:投資で成功を積み重ねると、次第に取れるリスクを増やしてより大きなリターンを狙いに行くようになる。
    【STEP3】:リターンを狙いすぎて失敗する経験をいくつかした後、狙うリターンを下げてでも高確率で成功する投資をするようになる。

STEP1:リスクも狙うリターンも小さく始める


今まで現預金しか持っていないて投資してこなかった人が、まず投資を始めるのがSTEP1です。

この段階では投資で大きなリスクを取らず、とても慎重に行動します。

STEP1での投資例

  • 余裕資金の中でも、一部だけで投資してみる。
  • まずはコカコーラやP&Gなどの歴史のある安定した企業(オールドエコノミー)に投資する。

「投資家がとるリスク」を横軸、「狙っているリターン」を縦軸にすると、投資をはじめる前の現金だけの状態(STEP0)から、少しだけリスクをとってリターンを狙いにいくイメージです。

STEP2:リスクをとって、大きなリターンを狙う

さて、投資を少しずつ成功すると「もっと大きなリスクをとって、大きなリターンを狙いたい」と思うようになります。

すると投資家は次のような行動に出ます。

STEP2での投資行動

  • 生活資金以外の余裕資金を、次々と投資にまわしてみる。
  • もっと配当利回りの高い銘柄を探して、投資してみる。
  • もっと勢いのある株価が勢いよく上昇している銘柄に、投資してみる。

この行動は成功が積み重なれば積み重なるほど、勢いを増す傾向があります。普段は冷静な人でも、大きなリターンへの探求を自分の意思で止めるのはかなり難しいようです。

そして大きなリターンを求めてリスクを取りすぎると、たいていは問題を生むようになります。結果的に多くの人は、何かしらの失敗を経験するまでリターンへの探求を続けることになります。

私が経験した失敗例は次のようなものです。

リスクを取りすぎて失敗することも

  • 急成長を遂げている企業の株に手を出したが、成長を維持できず株価が急落した(例:2014年のギリアド・サイエンシズ)。
  • 配当利回りが高い企業の株に手を出したが、経営の悪化で配当がなくなり株価も下がった(例:2015年初のフリーポート・マクモラン)。

2014年当時のギリアドはC型肝炎が完治する高額な医薬品を開発して急成長を遂げていましたが、「完治」してしまうことで年々患者数が減って株主が期待している高い売上成長が維持できなくなり、株価の状況は急速に勢いを失いました。

また、2015年に高配当目当てで投資したフリーポート・マクモランも、高配当になっていた背景には経営状態が悪くなって株価が下がっていたことを軽視していたため、結果的に配当が大幅削減されて株価も大きく下がる失敗をしました。

STEP3:過度なリスクは回避するようになる


STEP2で失敗を経験すると、次第にリスクや狙いに行くリターンを下げて、投資の確実性をあげようとするようになります。

図に書くと以下のような変化です。

意図的に狙うリターンを下げる意味

STEP3でなぜ「狙うリターン」を意図的に下げる必要があるのかピンと来ない人もいるかも知れないので、少し補足します。

意図的に狙うリターンを下げるのは、リターンが低くてもより確実なものを狙ったほうが、結果的に多くのリターンが得られる(期待値が高くなる)と考えているからです。大きなリターンを狙いすぎると、成功確率が下がってしまうので、それを避けるようになります。

STEP3での投資行動例

  • 配当利回りが○%を超える企業は、配当が維持できないリスクがあるから手を出さないと決めている。
  • PERやPSRなどの割高感を測る指標がある値を超える場合、割高な株を掴むリスクがあるから手を出さない。
  • 良い企業だと思っても、適正な価格よりも○%以上株価が高い場合には購入しない。
  • 過度な集中投資を避ける。また、価格変動が大きな投資対象にレバレッジを使わない。

野球で例えるなら狙うリターンが大きい投資はホームラン、狙うリターンが小さい投資はヒットです。ホームランが出ればたくさん点が入りますが確実性が低く、ヒットは入る点こそ小さいですが確実性が高いです。

「自分はホームランをたくさん打てるバッターじゃないな」と気づいたら、狙いを変えて確実にヒットを積み重ねたほうが、結果的により多くの得点が入るのは野球でも投資でもよくあることです。

もちろん、ホームランの練習を続けてホームランバッターになれるプロ野球選手もいるように、大きなリスクをコントロールできるようになれば大きなリターンも得られるはずなので、投資家全員が狙うリターンを下げるべきだとも思いません。

ただ、たいていの投資家は一度失敗を経験した後に、よりリスクを抑える傾向があるようにみえます。


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