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セールスフォース、データ分析ツールのTableauの買収を発表。

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6月10日Salesforceは、企業向けのデータ分析ツール(ビジネスインテリジェントツール)のTableauを総額157億ドルで買収すると発表しました。Tableauの一株辺りの買収金額は177.88ドルで前営業日の市場の終値の42%のプレミアムがついた価格になっています。

これは良い製品の買収だと思います。

企業の顧客管理や営業支援ツールを行うSalseforseにとって、データ分析ツールでNo1の評価を得ているTableauの買収はとても相性が良いです。優良企業による、優良サービスの買収です。ただ、買収金額は高い気がします。

先程から、Salesforce?Tableau?何のことですか?という声に答えて、ざっくりとした説明を加えておきます。

SalesforceはSaaS型の企業向け営業支援ツール

Salesforceは顧客情報や商談内容を管理し、営業力や受注率を狙う商品です。「A社からは広告がクリックされて資料請求があった」「B社からは資料に関する問い合わせもあった」など進捗毎に顧客の情報を管理でき、現在コンタクトしている見込み客の中で、誰が受注確率が高いかなどの傾向分析も行うことができます。

最近では、SalesforceはAIにも力を入れており、「アインシュタイン」と呼ばれるAIが受注の分析や4半期毎の売上予測などを行ってくれる機能も提供しています。

ちなみにSalesforceはクラウドで提供されるため、マシンにインストール必要もなくネットが繋がっている環境なら直ぐ使い始めることができます。いわゆるSaaS型企業ですね。

Salesforceが登場する前は、顧客管理向けツールを企業のマシンにインストールしないと使えないものばかりでしたが、難解なインストールは不要で契約後に直ぐに使え、しかもマシンの管理も不要な点は画期的でした。

TableauはSaaS型のデータ分析ツール

まず、Tableauの読み方ですが「タブロー」と読みます。企業様々なマシンやクラウドに眠っているデータを集めて、グラフ化することができるデータ分析用ツールです。

データが眠っている場所はエクセルだろうが、データベースだろうが、セールスフォース上の顧客データだろうが関係なくデータを読み込んで、グラフ化・見える化できます。

Tableauは調査会社で有名なガートナーから2019年時点で7年連続業界のトップクラスの評価をもらっていますが、その最大の特徴は、プログラミング不要で、直感的にデータを組み合わせてグラフ化できる機能を持っていることです。

操作が直感的なので、社員個人が自分の見たいデータの組み合わせを自分で試すことができ、社員一人ひとりが必要なデータ分析を行うことができる点が経営層やシステム部に受けて売上を伸ばしています。

ちなみに、Tableauの代理店がこの製品を企業を導入しようとする時のストーリー原案は次のようなものです。

  • 企業が抱える問題は複雑化し、さらに問題解決のスピードが求められている。
  • システム部が設計した画一的なデータ分析ではなく、現場で問題をよく知る社員個々人が、迅速かつ柔軟に分析することが求められる。
  • 現場社員による操作の容易性、接続できるデータベースの豊富さなどの評価軸を設定し、tableauを含む複数製品と比較して製品選定をして、導入しましょう。

このように製品としては悪くないのですが、セールスフォースの株主としてはもっと安い金額で買えた時期があったのではないかなと後の祭りながら思っています。

Tableauは2010年半ばには既に今の業界の評価を確立していました。その少し前の2010年代前半の時期といえば、ビックデータが世の中のキーワードになった時期で、大量のデータは人間には扱いにくいのでデータの中から意味ある示唆を得ようとするために、Tableauのようなツールが脚光を浴びていた時代です。

2010年代前半から買っていれば今よりもずっと注目も浴びていたにもかかわらず、Tableauの株価もまだ安かった気がしています。


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