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2023年の業績を楽観視するアナリストたち

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少し米国株に詳しい人なら知っていることなのですが、S&P500の一株利益は既に低下を始めています。

しかし、2022年7-9月期までの一株利益の減少幅は大きくありません。今の一株利益の低下のペースなら景気後退ではなく調整と言えそうですが、問題なのは2023年の一株利益についてです。

最近のアナリスト予想を見てみると、アナリストたちはどうも楽観的で2023年は利益成長が加速すると見ているようです。

この記事のポイント

  • 2021年10-12月期にS&P500の一株利益はピークをつけて低下を始めた。
  • 2022年の一株利益の低下は過去の景気後退時と比べると緩やかだが、これだけで景気後退を避けられるとは判断できない。
  • アナリスト予想は2022年10-12月期に一株利益は底打ちして上昇に転じると見ているが、その兆候はまだ見られない。

2022年のS&P500の一株利益の低下について


S&P500の一株利益の過去4四半期分の合計(下グラフ)を見てみると、既に一株利益は2021年第4四半期をピークに減少していることがわかります。

2022年7-9月期の一株利益はごく一部の企業が決算を発表していないために確定していませんが、今のところ187.46となっておりS&P500の一株利益の低下傾向は続いているようです。

2021年第4四半期にピークをつけたS&P500の一株利益ですが、今のところ減少幅はそれほど大きくなさそうです。

次のグラフは、過去に景気後退が発生した4回でS&P500の一株利益はピークをつけてから、どのように低下をしていったかをまとめたものです。

湾岸戦争(1990年)、ITバブル崩壊(2000年)、世界金融危機(2007年)、新型コロナ流行(2020年)の4回のときに比べて、今回の2022年は一株利益の低下がかなり緩やかなのがわかります。

また、上のグラフで景気後退に突入したときには印をつけているのですが、どうも一株利益がピークの80%前後になったタイミングで景気後退に入っていることが多いです。

これを見る限り、現時点ではまだアメリカは景気後退に入っていないように思います。

過去30年間を遡ると、S&P500の一株利益が5%以上下落しても景気後退時にならなかった時期が2回あるのですが、2022年はこの2回と近い動きをしていることがわかります。

今回の2022年の一株利益の低下のペースは緩やかで、景気後退に突入しないパターンに近い動きをしてることがわかります。

アナリストの予想通り2022年10-12月期で利益は底打ちするのか


ただ、「一株利益のパターンからすると、アメリカは景気後退にならない」と結論づけるのはまだ早いと思います。

上のグラフを見たときの違和感は、今回の2022年のS&P500の利益低下のグラフの形です。点線で書かれているのは今後のS&P500の一株利益のアナリストの予想なのですが、2022年10-12月期で底を打って上昇する予想になっています。

しかし、11月の中旬までに発表されたアメリカの景気を見てみると、どうも現況の景気指数(Current Activity)も将来の期待指数(Future Activity)も沈んだままです。

アナリストたちがいうように10-12月期が景気の底なら、そろそろ底打ちの兆候が見えてもおかしくないのですが、その様子はありません。

アナリストたちはまだ2023年の景気がどこまで悪化するのかを織り込めていない可能性もあり、これが織り込まれる時に株価を下げる恐れはあると思っています。


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