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過去10年平均の割高感まで下がったS&P500

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S&P500が割高なのか割安なのかを調べる方法に、予想PERを見るという方法があります。

>>米国株全体の割高度合いの調べ方について【S&P500編】

「予想PERが高ければ割高、低ければ割安」ととてもシンプルに割安かどうかを見ることができます。

2022年に株価が下落したことで、過去数年間ずっと割高だったS&P500は数字の上ではもはや割高ではなくなったようです。ただ、私はまだ買うタイミングではないと思っています。

この記事のポイント

  • 株価の下落によって、S&P500は過去10年間の平均予想PERまで下がった。
  • しかし、一般的に株価が下げ止まるときには、割安な価格まで下がることが多い。まだ株価はしばらく下がると見ている。
  • そもそも、今のような長期金利が高い時期には適正なPERは低くなるはずなので、予想PERは10年平均を示していても過去10年よりもまだ割高。

過去10年間の平均まで下がった予想PER


FactsetのサイトからS&P500の予想PERを調べてみると、2022年の予想PERは年始に比べてずいぶんと下がったことが確認できます。

この記事を書いている時点で最新のデータは16.8で、これは過去5年間の平均よりも低く、過去10年間の平均とほぼ同じ程度になっています。

つまり、これを見る限りは今のS&P500は過去10年間中で割高でも割安でもない、ちょうどいい価格まで落ち着いてきたようです。

まだ買いではない理由


ここまでの話を聞くと「割高が解消されたなら、そろそろ買いに行っても良いのか」と考えてしまうところですが、私はまだ少し待っても良いと思っています。

理由は次の2つです。

  • (1)株価の下落は適正価格(適正なPER)で下げ止まることはなく、大抵の場合売られすぎの状態になるまで下がる。
  • (2)一般的に長期金利が高い時期には、適正なPERは低くなる。今は過去10年で最も長期金利が高いので、過去10年平均のPERではまだ割高。

まず、一つ目の理由はシンプルです。

株の買われすぎている状況が解消される時には、適正な価格にまで下がって動きが止まるのではなく、一度売られすぎの状態にまで株価を下げることが多いです。

なので、今がもしも過去10年間の平均的な割高度合いにまで株価が落ちてきたとしても、そこで下落が止まらずにもう一段下がるのだろうと思います。

長期金利が高い時のPER

ここまでは「S&P500の予想PERが過去10年平均にまで下がったから割高が解消された」という前提で話をしてきましたが、実はこれは厳密には正しくないと思っています。

今と過去10年間では長期金利(米10年国債利回り)の値がだいぶ違うので、単純に比較はできないと思っているからです。

一般的に長期金利と予想PERはシーソーのように逆の動きをします。長期金利が高い時期には、予想PERは低くなりやすいです。

「長期金利が低い場合には株価が上がりやすく、長期金利が高い場合には株価が下がりやすい」という話を聞いたことがある人は多いと思いますが、予想PERと絡めると以下のように説明できます。

  • 長期金利が低い時期:同じ一株利益でも予想PERが高くなりやすく、株価が高くなりやすい
  • 長期金利が高い時期:同じ一株利益でも予想PERが低くなりやすく、株価が低くなりやすい

(※参考:(株価)=(一株利益)×(予想PER)の関係があります)

そして、2022年6月現在は残念ながらアメリカの長期金利は10年ぶりの高さになっています。

>>米10年債利回りが大幅上昇、2011年以来の高水準に-世界的な債券安(ブルームバーグ)

今の長期金利の高さを考えると株価が割高でもなく割安でもないときの予想PERは、過去10年平均よりもいくらか低い値になるのではないかと思います。

なので、そもそも今の株価は過去10年に比べて、まだいくらか割高圏内にいるのだと思っています。


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