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景気後退を意識し始めた人たち

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最近では、ほんの少しずつ景気後退を意識する人が増えてきたように思います。

アメリカの金融政策を決めるFOMCメンバーも、そろそろインフレだけではなく景気後退の存在が気になる時期になっているようです。

また、株式投資家はまだ楽観的ですが、債権投資家の間には既に景気後退に備えた長期国債買いが始まっているようにも見えます。

この記事のポイント

  • FOMC議事録で、FRBの高官たちが景気後退の確率をかなり高く見ていることが明らかになった。
  • 債券投資家は、景気後退に備えて長期国債買いの動きを始めている。

景気後退を意識し始めたFRB


11月のFOMC議事録が公開されました。

ニュースの見出しを見ていると、今後のアメリカの政策金利の引き上げ幅が今までの0.75%から縮小する話が出ています。ただ、それは既に市場も予想している通りで特別目新しいものではありません。

議事録を眺めていて、個人的に一番気になったのは次の文章です。

FOMCメンバーは実質経済のベースライン予想に下振れリスクがあると引き続き判断した。そして、翌年(2023年)にかけて経済が景気後退に突入する可能性は、ベースライン予想が実現する可能性とほぼ同じくらいだと見ている。

FOMCのメンバーたちは2023年の景気後退はメインシナリオではないものの、かなり高い確率で起こりうると見ていることになります。

11月中旬にはパウエル議長が重視しているデータが「景気鈍化」を示し始めており、そろそろアメリカ中央銀行の中でもインフレだけではなく、FRBの中でもアメリカの景気後退の存在がチラついているようです。

>>パウエル議長重視のイールドカーブ逆転、利上げサイクル転換の兆しか(ブルームバーグ)

景気後退を意識し始めた債券投資家

投資家の間でも、景気後退は視野に入ってきているのは感じます。

FRBはインフレとの戦いの姿勢を崩していないので短期の米国債利回りはまだ高止まりを続けていますが、利上げがほぼ確実に終わっているであろう長い年限の国債は買われて利回りが低下し始めています。

昨日の米国債利回りを見ても、その様子が垣間見えます。

この日の動きだけではなく、パウエル議長が注目しているデータが景気鈍化を示した11月10日から2週間はこの動きが見られます。

上のグラフは11月10日と11月23日の国債利回りを比較したものです。短期の国債は売られて利回りが上昇していますが、既に長期の国債は売られて利回りが低下しています。

これは、さらなる利上げ予想が強まって短期国債は売られましたが、インフレよりも景気後退を意識した投資家が景気悪化に強い長期国債を買っているように見えます。

株式投資家はまだ楽観を保っていますが、債券投資家は景気後退を織り込み始めたように思います。先日の記事でも書いたように、景気後退の織り込みは時間をかけて行われるので、今からの長期米国債買いは投資のチャンスがあると思います。

>>長期米国債の利回りはピークをつけた可能性


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