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シリコンバレーバンク破綻でFRBは積極的な利上げができなくなった。

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シリコンバレーバンクが破綻した件ですが、政府は預金者の保護に動いたようです。

>>FRBが緊急貸し付け、窓口貸出も緩和-預金は全額アクセス可能(ブルームバーグ)

これで預金した企業の資金繰りが悪化して倒産が相次ぐ恐れが低くなりました。でも、これで事態が元に戻ったかというとそうではなく、破綻によって状況が変わってしまったものもあります。

一番影響を受けているのは、FRBかも知れません。

インフレ退治のためにさらなる利上げが必要と言っていた矢先に、利上げによってシリコンバレーバンク破綻が起こってしまったので、今後利上げができる余地はかなり小さくなったと感じます。

12日に政府の預金全額保護の発表した後も、市場の投資家の利上げ予想は残りわずか2回のままで破綻前よりも大きく利上げ予想が下がっています。

この記事のポイント

  • シリコンバレーバンクは破綻したが、預金は全額保護されて取り出せるようにする政府発表が行われた。
  • 預金を取り出せなくなった多くの企業が倒産する恐れは回避された。
  • 一方で、対応に追われたFRBは今後2023年でさらなる金融引き締めができる余地が大幅に減った。

預金保護に動いたアメリカ政府

今回のシリコンバレーバンクの件ですが、破綻までのスピードも早ければ政府の対応もかなり早かったです。

テクノロジー企業は金融引き締めで破綻したシリコンバレーバンクに置いていた預金が引き出せなくなることで資金繰りに苦しむという心配がありましたが、政府が預金の全額保護に動いたことで、その恐れは回避されました。

また、シリコンバレーバンクと状況が似ている銀行がいくつかあるようなのですが(下ニュース記事)、今回の政府の対応で預金者は「他の銀行に資金を移す必要がなくなる」はずなので、取り付け騒ぎが再び起こる恐れも減りました。

>>米財務省高官、SVBと同様の問題抱える金融機関は複数ある(ブルームバーグ)

私は銀行業界に詳しいわけではありませんが、ここまでの状況を確認すると心配されていたテクノロジー企業の大量の倒産のリスクはかなり減ったのではないかと感じます。

市場の反応

この反応を受けて、米国株の先物も上昇しています(日本時間13日11時点)。

また、投資家の心理が極端に冷え込んで米国債に流れ込んだ資金も、米国債から別の資産に戻る動きが見られます。

ただし、戻らないものもあります。それが冒頭でも話しした政策金利予想です。

以下のグラフは、現時点(3月13日)の市場の政策金利予想とシリコンバレーバンクが問題になる前(3月8日)のものを比べたものですが、政策金利予想は下がったままです。

金融引き締めで銀行の破綻を招いてしまったことで、FRBは積極的な利上げができなくなったと思われます。

今まではインフレが収まらないなら金融引き締めをすれば良いだけでしたが、これからはインフレ退治と景気悪化の2つのバランスを取りながら金融政策の舵取りをしなければならなくなりました。

シリコンバレーバンクの件で、FRBを取り巻く状況は変わったのだろうと感じます。


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