情報社会というのはつくづく便利だなと思います。
これからアメリカに来るだろうと言われている不況は10年ぶりのものですが、次来る不況に備えて投資の方針を今から考えたいと思えば、10年以上前のサブプライム・リーマンショック時のデータであっても、すぐにネットから株価をダウンロードしてグラフで眺めて検討する事ができるからです。
しかし、不況時のデータを眺めていて、改めて不況時の投資は難しいなと感じことがあります。
景気後退時期の株の買い方についてです。
景気後退期入りから20-30%の株価下落で購入した場合
この記事を書くまでに、次にアメリカが景気後退入りしたら、購入候補銘柄の株が20-30%下がったら買いたいと何の根拠もなく漠然と考えていました。
「株が20-30%下落したら買う」というルールが筋が良さそうかどうか、サブプライムローン問題後に発生した前回の景気後退時のデータを使って確かめてみようと思います。
私は次の景気後退時にAmazon、Microsoft、Googleなどの株を買い増ししようと考えているので、ここでは前回の景気後退期にこれらの株を買えるチャンスがどれくらいの時期でやってくるのか見てみました。
【購入銘柄候補】クラウド、AI、ストリーミングをテーマにした銘柄達。
その結果のグラフがこちらです。
なかなかいい感じではないでしょうか。
前回の景気後退入りは2017年12月だったので、その翌月2018年1月から6月末までの半年間をグラフで表示していますが、Google(青)、Amazon(水色), Microsoft(紫)ともに、2月には下落幅20-30%圏内(赤く塗ったレンジ)に突入し、その後3ヶ月弱ほどこの圏内や周辺に価格が抑えられています。
この様子であれば、1回でまとまった金額を一気に買うのではなく、複数回に分けて時間とリスクを分散せながらの投資ができそうです。しかも、景気後退入りしてわずか1-2ヶ月で買い場が訪れてくれれば、しびれを切らさずに下落相場まで待つことができそうです。
が、しかし。しかしですよ。世界はこんなに甘くはできていないのです。
その後、悪夢が訪れる
上のグラフは2018年6月末までしか表示していませんが、6月末にかけてどの株価も下がっているのが気になりませんか?
私はこの年にリアルタイムで投資をしていたので、痛いほどよく覚えています。既にGoogleは30%台を超える下落率を見せていますが、この時期、まだ悪夢は始まってもいません。
忘れもしません。あのリーマンショックは2018年9月です。そのリーマンショックの時期をグラフに反映すると、このように見える世界が変わります。
2018年9月以降、どの銘柄も軒並み購入レンジの下限の30%を超える下落率を見せています。
もしも2018年上半期で蓄えていた投資資金を全て投入していたら、激しく株価が下落していく中で、耐え難きを耐えなければならない、苦しい展開に突入していたはずです。
不況時の株価購入は次善の策として時間分散がおすすめ
さて、一見出だしは良いかと思われた「20-30%下落したら買う」作戦ですが、これでは前回のリーマンショックで結構なダメージを負いそうなことがわかりました。
回避策として「30-40%下落した買う」に調整するなど購入レンジを買えると回避できますが、次来る景気後退がリーマンショックと同じ規模の株価下落が起こらなかった場合には、一向に買うチャンスが訪れないことがあるかも知れません。
この買い逃しのリスクを考えると、購入レンジを調整するのではなく、たった数ヶ月で不況時のための投資資金を使い切らないようにするほうが良いかもしれません。時間分散の考え方です。
「一度20-30%まで下落したら、毎月1回の追加投資を10ヶ月続けて行う」など、投資資金をたった数回で使い切らない買い方が不況時には適している気がしました。
この投資方法を採用したとしても、株価が一気に下がって回復する急なV字型の相場の場合には、割安な価格で買えない恐れがあるのですが、その場合は短い不況で良かったねと胸をなで下ろせばいいです。
しかし、この記事を書いていてリーマンショックの時の記憶が徐々に蘇り、あらためて下落相場は恐ろしいものだと感じました。昨日まで「早く、景気後退期入りしないかな」と考えていた自分の頭は、10年以上の歳月をかけて、だいぶ平和ボケしていたようです。
今日は、不況時の株の買い方をリーマンショック時の株価データを使って考察しました。買い場が訪れたとしても投資資金をたった数ヶ月で使い切らないように資金をコントロールすることが大事なようです。その理由としては、株価が下落しても本当の買い場はまだ訪れていない可能性があるからです。