世界中の注目を集めたイギリスの選挙は、保守党が単独過半数を取りました。
保守党はジョンソン首相とEUまとめた離脱協議案を賛成すると言っているので、滞っていたブレグジットの審議がこれで前進しそうです。
トランプ大統領もさっそくお祝いのツイートをして、EU離脱後はアメリカと大きな貿易協議をしようと呼びかけています。
Congratulations to Boris Johnson on his great WIN! Britain and the United States will now be free to strike a massive new Trade Deal after BREXIT. This deal has the potential to be far bigger and more lucrative than any deal that could be made with the E.U. Celebrate Boris!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) December 13, 2019
ただし、「合意あるEU離脱に向けで前進するぞ。あー良かった。」で終わってしまったら、今回の件で自分は何も成長しないんだろうなと思ったので、保守党が勝ったら経済や景気にどんな影響がありそうか少しだけ調べてみました。
保守党がこの選挙で勝ったことの影響はざっとこんな感じでした。
保守党の勝利が与える影響
- EU離脱に向けて議論が前進する。様子見で冷え込んでいた企業の生産や投資が増える。
- 保守党は減税と教育・警察・医療分野での予算拡大を公言している。景気が刺激されるメリットの一方、社債と国債の利回りが上がるデメリットもある。
- インフラ投資のための借り入れをGDP1.8%から3%に拡大させる予定。イギリスの建設業は潤う。
イギリスも予算の拡大へ
企業の生産や投資の増加についてはこの後で触れるとして、気になるのは予算の拡大です。
今はアメリカもEUもイギリスもどの国も予算を拡大していて、景気を刺激策を打とうとする動きがあります。
それ自体は良いことなのですが、予算の増額分は国債を増発していることがほとんどなので、将来的に金利があがる展開が世界中で起こるかも知れません。
私は資産の結構多くの割合で米国債を買っているので、世界中の金利の上昇が起こると損する恐れがあります。
もちろん、今すぐの話ではありませんが、ゆくゆくは金利があがって国債価格が下落するリスクも警戒しておかないといけなさそうです。
先行き不透明感が晴れたイギリス
保守党勝利の影響を色々書きましたが、市場にとっての一番のプラス要因は先行きの不透明感が消えることです。
EU離脱の時期は2019年1月、5月、10月、1月と延期されてきましたが、特に混迷を極めた2019年の第2四半期(4-6月)にかけてイギリス経済が大きく低迷したことがありました。
この時は、企業の生産や設備投資が大きく落ち込んで6年ぶりのマイナス成長におちいるほどでした。
マイナス成長の原因になっていた政治の不安が消えたことは、大きいです。
まだEU離脱後にアメリカ・日本・オーストラリア・ニュージーランドなど主要国と2国間貿易交渉を結べるかなど、やることはたくさんあるようですが、前進していることは確かなようです。
好材料が揃う市場
最後に、2019年12月の市場環境について触れます。一言でいうと、好材料が揃いすぎている気がします。
- 【ブレグジット】:保守党が単独過半数を取得で、合意ある離脱に向けて前進。
- 【米中貿易】:トランプが第一弾合意にサインしたとの報道(正式発表はなし)
世界中で懸念していた2つのイベントが良い結果になったわけですが、材料出尽くしは市場にとってそんなに良いものではないと言われます。それ以上、上昇する理由がなくなってしまうからです。
米中貿易交渉については、報道だけでどうして正式な発表が無いのか少し不思議なのですが、近日中に明らかになるはずです。
こうした好材料が揃って株高になっているうちに、リバランスのために保有している株の一部をまた売ろうかと考えています。