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アメリカ大手銀行の決算は良好、銀行の預金流出も止まる

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アメリカの大手銀行の決算が始まりましたが、予想よりも結果は良かったです。

また、アメリカの全銀行の預金流出がとまったデータも発表されています。前の週からアメリカ全体の預金額が増加に転したのは、3月の銀行破綻から初めてのことです。

一見すると、混乱は収まりつつあるように見えます。ただ、まだ安心するには早いようです。

この記事のポイント

  • アメリカの銀行最大手の決算が発表されたが、結果は予想を超えて良い業績を残した。
  • アメリカの銀行の預金額は減少が続いていたが、4月5日までの1週間で3月の銀行破綻以降ではじめて増加に転じた。
  • しかし、銀行の幹部たちはまだ警戒を緩めていない。

好業績だった最大手の銀行

4月14日にJPモルガン(JPM)、シティ(C)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)の3社で1-3月期決算発表がありました。

3月には銀行業界の混乱があったにも関わらず、3社とも収益も一株利益もアナリスト予想を上回る結果を揃えてきました。

  • JPM:収益$39.34B(予想$36.19B)、一株利益$4.32(予想$3.41)
  • シティ:収益$21.45B(予想$19.99B)、一株利益$2.15(予想$1.65)
  • WFC:収益$20.73B(予想$20.08B)、一株利益$1.23(予想$1.13)

JPモルガンにいたっては1-3月期で預金額が予想外に2%増加し、2023年後の純金利収入の見通しを引き上げる判断までしています。

シティは1-3月期に債権が大きく買われたことで債権トレードが過去10年で3番目の好成績を残し、ウェルズ・ファーゴも金利引き上げよる収益の増加が続いていると言います。

どうも3月は一部の中小の銀行にとっては修羅場だったのかも知れませんが、最大手の銀行にとっては預金流入と債権価格上昇で収益増加の機会になっていた模様です。

銀行の預金流出は止まった

また、銀行の決算とは話が異なるのですが、4月5日までのアメリカの銀行の預金額の発表が同じ日にありました。

3月にいくつかの銀行の破綻が見られてから、アメリカの銀行全体では預金減少が続いていたのですが、はじめて前の週に比べて預金が増えたことがわかりました。

最大手の銀行の決算に加えて、全米での預金流出が止まったことは、銀行危機に関する警戒感は一部弱まったのかも知れません。

3月の銀行の破綻で大きく買われた米国債は、昨日は反対に大きく売られることになりました。

経済の嵐の危機はまだ去っていない

3月のシリコンバレーバンク破綻の余波はたしかに収まったと思いますが、危機は完全にさったと判断するのはまだ早いと思います。

そもそも銀行の破綻を引き起こした原因は金融引き締めなのに、その金融引き締めはまだ続いているからです。

そして、まだ警戒心を説いていないのは最大手のCEOたちも同じようです。決算時のコメントはポジティブなものばかりではありませんでした。

JPモルガンのダイモンCEOも「アメリカ経済は引き続きおおむね好調を維持している。消費者は支出を続けてバランスシートも健全で、企業も良い状態だ。」と言いながらも、次のようなコメントを残しています。

前年から注意深く見守っていのだが、経済の嵐を持たらす雨雲がやってくる兆候が見られる。そのリスクに銀行の混乱が加わった。

銀行を巡る状況は2008年とは違うし、今は解決しなければならない問題も当時より少ないが、これからは資金の貸し手がさらに守りに入って信用収縮が起こると予想される。この信用収縮が消費を減速させてしまうのかどうかは、われわれには分からない。

JPモルガン、ジェイミー・ダイモンCEO

知っている人も多いと思いますが、ダイモンCEOはアメリカはやがて経済の嵐に見舞われると警告のメッセージを去年2022年から話しています。

>>経済の「ハリケーン」に備えよ、JPモルガンのダイモン氏が警告(ブルームバーグ、2022年6月の記事)

また、シティもウェルズ・ファーゴも貸倒引当金(貸した資金が返ってこない事に備える資金)を増やすなど、警戒心が数字になって現れています。特に、シティは貸倒引当金を2倍に増やしています。

現状でシリコンバレーバンクの混乱は収まって波も穏やかになった感じはあるのですが、まだ遠くに暗雲が立ち込めている状況は変わっていないようです。


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