このブログでは半年くらい前に、アメリカのインフレ率について簡単なシミュレーションをしました。
それから半年経ち、当時の適当なシミュレーションがそこそこ良い感じで当たっているように見えます。
(そう上手くはいかないとは思いますが)もしもこのままシミュレーションが当たり続けるなら、どのような変化が起こるのかを書いていきます。
この記事のポイント
- アメリカの消費者物価指数は上昇時と同じペースで鈍化している。
- このペースがまだ続くなら3月から7月までインフレ率は横ばいで推移する。
- 8月以降に消費者物価は著しく鈍化する。8月は前年比+4.2%から9月には前年比+2.6%へと急低下する。
インフレの上昇ペースと鈍化ペース
2022年12月に書いた次の記事で、アメリカのインフレの収束の仕方について調べました。
>>急上昇したアメリカの物価は、今後同じペースで急低下する(2022年12月)
かつて高インフレに苦しんだ1970年代のアメリカでは、消費者物価の上昇ペースと下落ペースがほとんど同じでした。
つまり、下のように消費者物価の前年比の伸びをグラフ化すると、インフレのピークを堺に対照な形ができあがります。
半年前に書いた記事では1970年代のこのインフレのパターンを今後も繰り返すなら、2023年はインフレの大きな鈍化が見られるという話をしています。
そして、この適当な予想は現段階までそこそこ当たっているように見えます。
次のグラフの点線は1970年のパターンのように対照な形を作ってインフレが低下すると仮定した場合の消費者物価(シミュレーション)で、実線が実際のアメリカの消費者物価の前年比を描いていますが、これら2つはかなり似た動きをしています。
このペースなら2023年後半に消費者物価は急低下へ
ここまでのところは、1970年代と同じように物価上昇と同じペースで物価の鈍化も起こっていることがわかりました。
今後はこのパターンから外れるかもしれませんが、このままパターン通りにインフレが推移するとしたら何か起こるでしょうか。
特徴的なのは次の2つです。
- 7月まで消費者物価は前年比5%を前後する。
- 8月からはインフレ鈍化が進む。特に8月から9月にかけては、4.2%から2.6%へと急低下する。
具体的にどのような数字になるのかは、次の通りです。
消費者物価 | 実際の値 | シミュレーション |
---|---|---|
2023年1月 | 6.3% | 6.8% |
2023年2月 | 6.0% | 6.2% |
2023年3月 | 5.0% | 5.4% |
2023年4月 | 5.0% | 5.3% |
2023年5月 | – | 5.4% |
2023年6月 | – | 5.4% |
2023年7月 | – | 5.0% |
2023年8月 | – | 4.2% |
2023年9月 | – | 2.6% |
2023年10月 | – | 1.7% |
2023年11月 | – | 1.4% |
2023年12月 | – | 1.4% |
2023年12月に消費者物価が前年比+1.4%にまで下がるとはさすがに思わないのですが、ともかく2023年後半にはアメリカのインフレは一段と落ち着くようです。
気になるのは9月以降のインフレ率です。このままのペースなら9月には前年比2.6%まで落ちることになります。
それなら、いつまでも政策金利を5%にしておく必要はなさそうです。
市場の投資家も同じようなインフレ予想を立てているのかはわかりませんが、9月前後には利下げが行われているだろうと見ています。
2023年後半もアメリカのインフレ率がどのように変化していくのかを、楽しみに見ていきたいと思います。