昨日ブログでは、来年アメリカで利下げがあったとしても景気後退に陥ってしまうと株価は下がるという話をしました。
そして、恐らく2024年のどこかではアメリカは景気後退になるはずだと思っています。
しかし、ひるがえって現時点のアメリカの景気はどうかというとかなり良いです。この記事を書いている今は2023年の最終週に当たりますが、今の時点で見えている12月のアメリカの景気は悪くないです。
この記事のポイント
- ダラス連銀のウィークリー・エコノミック・インデックスは、12月もアメリカ経済が堅調に伸びていることを示している。
- 2023年通してアメリカの雇用はしぶとい強さを見せていたが、年内最後の新規失業保険申請件数の申請件数も低水準だった。
- アメリカの堅調な消費と雇用はゆるやかに鈍化しているがその速度は遅く、まだ景気後退の気配は感じない。この調子なら2024年も前半は経済はそこそこの強さを示す可能性がある。
2023年10-12月期もアメリカ経済は堅調
年も明ければ12月のアメリカ経済を示す経済指標の多くが発表されるのですが、週単位で発表されている一部のデータでは既に12月の好不調を見ることができます。
ここでは、一足早くアメリカ経済の12月の調子を見ていきたいと思います。
まず、初めにみていくのはFRBのダラス連銀が算出している毎週のアメリカ経済の強さを示すウィークリー・エコノミック・インデックス(WEI)というものです。
(※少し前まではニューヨーク連銀が発表していたのですが、発表元がダラス連銀に変わったみたいです。)
上図で最新のWEIの値(上図の水色の線)は2.9となっています。この数字の読み方ですが、そのままアメリカの実質GDP成長率(前年比)と読み変えて大丈夫です。
上の図で赤線はアメリカの実質GDPの前年比を示していますが、このGDPの赤線とWEIの水色の線は同じような動きをしています。
つまり、12月23日週のアメリカ経済の強さなら実質GDPで前年比+2.9%を残せるくらいの強さだったということになります。
この+2.9%という数字ですが、経済成長のペースとしてはかなり良い感じに見えます。つまり、WEIを見る限りは、今のアメリカ経済に景気後退が差し迫っているようには見えません。
新規失業保険申請件数も低水準で推移
また、毎週発表されている新規失業保険申請件数の申請件数も見てみると、こちらもかなり低水準をキープしています。
こちらを見てると増加傾向に転じているようには見えません。景気後退に突入すると目に見えて失業者数が増える傾向が見られるのですが、上のグラフからはまだそういった兆候は見えることができません。
ちなみに、毎月発表される雇用統計の中で「一時的ではない失業者数(Permanent Job Losers)」という項目があり、それはジワリと上がってきてはいます(下図)。
だから、雇用が弱まっていることは確かなのです。ただ、どの数字を見ても雇用の弱まりが分かるようになるまでにはまだ時間がかかりそうです。
雇用が弱まるためには、恐らくアメリカで消費が弱まる必要があり、そのためにはコロナで貯めた余分な貯蓄が尽きる必要があるのでしょう。この余分な貯蓄は2024年5月くらいまでは持つと思われるので、2024年前半のアメリカ経済はソフトランディング期待が高まり、24年前半の株価はそこそこ上昇する場面も見られるのではないかと思います。