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アメリカの雇用はまだ強いが、先行きは明るくない。

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3月の雇用統計はまだ強かったという話を先日しました。

>>アメリカの雇用統計を通過し、5月FOMCは最後の利上げか。

「まだ」強いという表現に今後アメリカの雇用が悪くなると私が考えていることを感じとった人もいると思います。

そして雇用が悪くなる兆候なら別の指標ですでに現れているので、それを確認していきます。

この記事のポイント

  • アメリカがリセッションに陥るには失業率が上昇する必要があり、それにはまだほど遠いが、雇用環境が悪化している兆候はある。
  • アメリカでの人員削減数は増加傾向にすでに転じている。また、毎週発表されている失業保険申請件数も恐らく上昇トレンドに転じた

現状確認

まず現状を確認したいと思うのですが、現時点でアメリカがリセッション(景気後退)に陥っていることはないと思いますし、それが近いとも思っていません。

根拠はサームルールと呼ばれるリセッション突入の基準です。

  • 【サームルール】過去3ヶ月間の平均失業率が、過去12ヶ月間の最低失業率よりも0.5%上昇していたら景気後退期。

この方法はかなり正確にリセッションの突入時期を言い当てることができます。

1990年以降の4回の景気後退で調べてみましたが、過去12ヶ月の最低失業率からだいたい0.5%上昇した頃には、景気後退になっています。

現時点に当てはめると、過去12ヶ月の最低失業率は23年1月に記録した3.4%です。

なので、直近3ヶ月の失業率が3.9%を超えたらリセッション入りと言えますが、2023年1〜3月の平均失業率は3.5%でリセッションが迫っている印象はありません。

なので、現時点のアメリカは失業率から判断するとリセッションではないですし、リセッションが近い状態にも見えません。

アメリカの雇用悪化のトレンドは始まっている

しかし、冒頭でも言ったように今後のアメリカで雇用が悪化する兆候は見られます。

まずひとつ目は人員削減数が増加傾向に転じていることです。チャレンジャー・グレイ社が発表した人員削減数を見てみると、すでに人員削減は増加に転じ始めていることがわかります。

上のグラフでは、人員削減数の12ヶ月平均を太線にして表示しているのですが、この線が一度上向くとその後大きな山を描いて上昇する傾向があります。

そして、グラフの一番右の最新の状況を確認すると、すでに人員削減数の12ヶ月平均は上向きに上昇を始めたような印象を受けます。

恐らくですが、アメリカの人員削減はこれからも増加を続けると思われます。

また、失業者が増えている様子は毎週発表される失業保険申請件数にも現れています。下のグラフを見ると、9月から新規の失業保険の申請件数の増加傾向は始まっているように見えます。

まだ失業率に大きな変化はありませんが、水面下では雇用の悪化が進んでいるようです。

なので、私はアメリカの景気や景気に影響される米国株をまだまだ悲観的に見ています。


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