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2020年代の米国投資の大きなテーマはやはりインフレだと思う。

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まだ2020年代は始まって1年しか経っていませんが、それでもこの10年間で大きな変化が起こりそうなものをあげるなら、アメリカのインフレ(モノの価格上昇=ドルの価値下落)だと思います。

たぶん、2020年代のアメリカはインフレが投資家の最大の関心事になるはずです。インフレ率が適温なら米国株に追い風ですが、過熱すると向かい風に変わるので、注意が必要です。

きっかけは2020年の新型コロナウイルスの不況に対応するために発動した、アメリカ政府の巨額な景気刺激策です。あのとき、今まで開けてはならないと言われていたパンドラの箱を開けた気がします。

この記事では、どういう経緯で2020年代にインフレ率が高まりやすくなったのかを書き、最後に個人投資家はどのような対策を取るのが良いかを少しだけ触れます。

この記事のポイント

  • リーマンショック後の2010年代はFRBの金融緩和がアメリカの景気を支えてきた。でも、2020年3月のコロナショックではそれだけでは景気を支えられなくなり、政府も巨大な景気刺激策を打ち出して景気の谷を乗り越えた。
  • これが成功体験になって、今後10年は景気が悪くなるたびに、政府は巨額なドルのバラマキをするようになると考えている。
  • この問題点は、ドルの価値が薄まること。国債や米ドルの価値は減り、インフレが行き過ぎれば株の評価も下がるなど、投資にも大きな影響が出る。

アメリカ市場の歴史を振り返り

時代ごとに振り返ると、おおよそ10年に一度で投資のトレンドが変わっていることがわかります。

一言でいうと、2000年代はITバブルと不動産バブルの2つのバブル崩壊で市場が打ちのめされた時代。2010年代は中央銀行のFRBが歴史的な金融緩和をして景気回復した時代でした。

また、それぞれの時代は前の時代に強い影響を受けています。

例えば2010年代なら、前の時代のリーマンショックがあまりも巨大だったので、なんとか危機を乗り越えるためにFRBが巨大な金融緩和をして景気を支える他ありませんでした。

この金融緩和のおかげで、2010年代の米国株が大きく上昇したのは、米国株投資家ならよく知っている通りです。

2010年代からFRBの金融緩和を背景に上昇を続けた米国株

そんな中で2020年代に入って訪れたのが、2020年3月のコロナショックでした。

この危機で歴史的な景気の急落を経験したアメリカは、FRBだけでは景気を支えられなくなり、政府も巨大な景気刺激策(ドルのバラまき)を打ち出さないと乗り越えられないほどでした。

2020年代はコロナショックをきっかけにインフレの時代に

2020年の新型コロナウイルスは多くの人命を奪いましたが、経済と株価は当初の想像以上に早く回復しています。FRBと米政府の対策はかなりうまく機能したようです。

ここからは私の予想ですが、これが成功体験になって今後何かしらのアメリカの景気悪化が起こる度に、アメリカ政府は巨大な景気刺激策を打ち出すようになる気がしています。

政府もそれを支持する国民も人間なので、過去の歴史や成功体験から危機の対処方法を学びます。特にアメリカ国民は、家計が苦しい時期に米ドルを給付してくれたやり方の虜になっていて、苦しくなる度にそれを望むはずです。

でも、よく知られている通り、大量にドルをバラまくこの方法は、ドルの価値を低下させてインフレを起こしやすくなるという問題点があります。

なので、個人的にはアメリカのインフレはいつ頃に上昇するのかをかなり注目しています。

一度インフレ率がじわじわと上昇しはじめると、FRBでも痛みなくインフレを抑え込むのはかなり困難で時間もかかるので、2020年代のどこかで問題が表面化したら、2020年代を左右する投資テーマになると思っています。

パンドラの箱を開けた2020年


そもそも過去のアメリカ政府がむやみに大規模な景気刺激策を打ち出さなかったのは、インフレを起こさないようにするためでした。

アメリカは1970年代と1980年代前半に大規模なインフレに苦しんだ過去があるので、歴史を繰り返さないようにアメリカ政府が自制していたように見えます。

今までは政府の巨大な景気刺激策は、いわば「禁断の手」のような扱いだったのですが、コロナの時にはタガが外れたように大きな景気刺激策を打ち出し始めました。

コロナのような経済が停止した状況では、モノを買いたくても買うお店が空いていないから(少なくともしばらくは)インフレ率が上昇しないという、特殊な事情があったのでインフレを気にせず禁じ手が使えたと思っているのですが、この特別な事情をアメリカ国民で広く共有できている気はしません。

なので、恐らくこれから何か景気の悪い話がでると、国民や議会から大規模な景気刺激策を打ち出す話があがり、やがてインフレが問題になる日が来る気がします。

この問題で個人投資家ができることはあまり多くないのですが、この記事の最後に思いつく投資の対応策を列挙しておきます。

対応策

  • マイルドなインフレが続く景気回復期では株をメインに投資する。
  • 今後、インフレ行き過ぎて景気を悪化させる兆候があるなら、貴金属などの実物資産にも投資する。
  • ドルの価値が低下しやすいので資産の多くを米国債や米ドルのまま数年寝かせることはしない。現金を持つなら、日本円にする。
  • 2020年代に米ドル安が進行すると予想するなら、米国外の株も長期の投資対象に入れる。もしくは、世界中の株に分散投資できる商品を買う。

2020年代にインフレが進むと予想していても、まだしばらくは株中心の投資で良いと考えているのは、過度なインフレ率でないなら株がもっとも上昇しやすい資産だからです。

2021年1月時点ではまだ問題は表面化していません。どんなペースで、いつ頃インフレが上がるかを注目してみたいと思います。


参考記事:


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