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アメリカがパンデミック時に蓄えた貯蓄は実はまだ底をついていない模様

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今回のブログはだいぶがっかりした気分で書いています。

このブログでは以前からコロナ流行時に蓄えた貯蓄はまもなく使い切るので、個人消費はそろそろ落ちてくるという話をしていました。

そして投資でもアメリカの景気鈍化を見越して米国債を保有していました。

しかし、このストーリーはかなり長い期間先延ばしにされそうです。先週アメリカ政府が発表したデータでは、所得のデータが大きく上昇修正されました。

これにより、余剰貯蓄が使い切る時期が9ヶ月ほど伸びたかも知れません。手元でざっと計算したところでは、アメリカの個人が余分な貯蓄を使いきるのは2024年半ばになりそうです。

この記事のポイント

  • 発表済みのアメリカの個人所得のデータは大きく上昇修正された。
  • 2023年第3四半期にはパンデミック時に蓄えた余分な貯蓄はなくなると言われていたが、今回の改定でまだ多くが残っていたことになりそう。
  • 手元の簡単な推計では23年8月でも余分な貯蓄は7.6兆ドルあり、枯渇するのは2024年5月頃かも知れない。

大きく改定されたアメリカの個人所得

先週金曜日に発表されたアメリカの個人所得と個人消費のニュースリリースに、少し驚く内容が盛り込まれていました。

それを読むと、アメリカの所得データは1979年1月以降のものが修正されたと言います。

本日の発表には幅広いデータの修正が含まれています。所得と個人消費の推計データはそれぞれ1979年1月以降と2013年1月以降のもので修正がかけられています。

一言でいうと今回のデータの修正は、主に個人所得の上方修正でした。特に近年のデータで大きな上方修正がかかっているようです。

コロナ時に蓄えた貯蓄は2023年第3四半期にも使い切るのではないかと言われていたのですが(下記事を参照)、この推計は恐らく大幅に変更されると思います。

>>アメリカの貯蓄の余力はそれほど大きくない。

しょうがないので、改定されたアメリカの個人所得のデータを使って、手元でアメリカの余剰の貯蓄の今を推計しなおして見ました。

余剰貯蓄は

まず大まかな全体像を確認していきます。

次のグラフは2016年以降のアメリカの(データ修正済みの)個人貯蓄を示したものです。そして、2016年1月から2020年2月までの貯蓄のトレンド(線形回帰分析の結果)を点線で描いています。

上のグラフを見るとコロナが流行る2020年2月までは、トレンドにそって安定して経済の成長とともに貯蓄が伸びていることがわかります。

しかし、パンデミックが起こると人々は外出できなくなり消費をしないで蓄えた上に現金給付も受け取ったので、貯蓄はトレンドを大きく超えて伸びました。この時期にいつもよりも余分な貯蓄をしていることがわかります。

そしてワクチン接種も広まった2021年後半から経済が再開されると、手元に余分な貯蓄があったのでいつもよりも多く消費をしたためか、貯蓄がトレンドを大きく下回る傾向が続いて現在にいたります。

さて、問題は8月現在でパンデミック時に蓄えた余分な貯蓄(トレンドを超える貯蓄の累積額)はどの程度残っているかです。

今回修正されたデータを使って余分な累積貯蓄を再計算してみた結果、2020年3月以降でコロナ前のトレンドを超える余分な貯蓄はまだ$7600B(7.6兆ドル)残っていることがわかりました。

今のペースが続いた場合には、2024年5月にコロナで蓄えた余分な貯蓄がなくなる計算です。

(あくまでも私の手元の計算です。データ集計でミスをしているかもしれませんし、単なる回帰分析をしただけなので推計は正確性にかける点にはご注意ください)

アメリカのリセッションはまだ遠いか

今まで2023年第3四半期には余分な貯蓄がなくなると言われていたのに、実は随分とまだアメリカの個人の懐には余裕があったということになります。

(そもそも1979年からのものが今頃になって修正されるようなデータが信頼できるかわかりませんが、)アメリカの景気後退はまだ先になりそうです。


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