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2021年に入ってから急上昇が続くアメリカの生産者物価指数

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物価の様子(インフレ率)を調べるには、いくつか数字があります。

有名なのは消費者物価指数で、人々がモノやサービスに支払う価格がどれくらい上昇したかを確認できます。

それに比べると注目度はかなり低いのですが、企業が出荷する製品の価格に注目した生産者物価指数という数字もあります。

2021年4月9日に発表されたアメリカの生産者物価指数をチェックしましたが、今月もかなり上昇していました。

前年比で4.2%を超えて、10年ぶりの高さにだったようです。

この記事のポイント

  • 2021年3月のアメリカの生産者物価指数は10年ぶりの高さを記録した。
  • 2021年1月から3月で生産者物価は急上昇している点も気になる。3ヶ月の上昇は年率11.8%にもなる。
  • 物価の伸びは一時的な伸びの可能性もある。生産者物価より消費者物価のほうが重要なので、今後の消費者物価の動きに注目。

生産者物価は最重要なデータでもないので、この記事は少し短めにさらっと「今回発表されたデータの何がまずい点なのか」を書いていきます。

急上昇する生産者物価


物価は風呂の温度と同じで、低すぎても高すぎても景気によくないものです。

端的に言うと、私は最近の生産者物価はやや急な上昇が続いていて、やや熱すぎるお湯のように良くない状態だと思っています。

2021年3月のアメリカの生産者物価指数は前年比4.2%で、10年ぶりの高さになりました。

既に過去の記事で、最近のアメリカの企業で仕入れ価格が上昇していることは触れてきましたが、それが製品価格(生産者物価)にも反映されているようです。

>>アメリカ製造業の景況感、37年ぶりの高水準に。

また、2021年に入ってから3ヶ月の生産者物価の伸びはかなり高く、少しそろそろ警戒したほうが良いレベルになっていると感じました。

3月の生産者物価指数で良くない点

  • 2021年1月から3月で生産者物価は急上昇している。3ヶ月間の上昇率は年率11.8%にもなる。
  • 2020年2月からコロナの不況が起こらずに年率2%で物価が上昇し続けた場合よりも、既に物価は高い。

1点目の良くない点は、2021年1月からの3ヶ月間の生産者物価の上昇がかなり高いことです。

コロナ前は1年間で2%弱の上昇だったのに、2021年は1月だけで前月比1.3%伸び、2月も同+0.5%、3月も+1.0%と高い伸びが続いています。

2021年1月から3ヶ月の生産者物価の伸びは年率11.8%です。

このような急な物価の上昇は一時的だとは思いますが、3月の製造業の受注残などのデータを見てると価格上昇はまだしばらく続きそうです。

こうした状況を「コロナの大きな低迷からのリバウンドで、急回復しているだけでは」と見ると人もいる思います。

そこで、もしも世の中にコロナが流行しなかったと仮定して、2020年2月から2021年3月まで年率2%の物価の伸び(コロナ前と同じ物価の伸び)を続けた場合と実際のデータを比較してみましたが、既にコロナがなかった場合を超える生産者物価の水準に達しています。

つまり、3月の生産者物価は「コロナで落ち込んた物価の回復」というよりも、「コロナの不況を乗り越えた景気拡大」という段階に入ってきているのだと思います。

まとめ


この記事では、2021年3月の生産者物価がかなり高かったという点にふれました。

生産者物価はそれほど重要なデータではありませんが、関係が深い消費者物価もつられて急上昇すれば、最悪の場合はアメリカの金融緩和が予定よりも早く終わりをむかえる恐れも今後出てきます。そうなると、米国株に悪影響がでます。

ただ、生産者物価指数は市場であまり注目度が高くない上に、そもそも一時的な物価上昇は想定の範囲内なので、3月の生産者物価が発表された4月9日に大きな市場の混乱はありませんでした。

4月9日の市場に大きな混乱は見られなかった

今後は、物価の伸びは一時的なものなのかどうか、また、生産者物価ではなく重要度の高い消費者物価で高い物価の伸びは起こるのかを見ていきたいと思います。


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