米、EUへ40億ドル分の追加関税を示唆も、貿易戦争に発展しない理由

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今度はEUに関税発動か

米中貿易戦争が一息ついたと思ったら、今度はヨーロッパに目を向けたようです。

7月1日、米通商代表部(USTR)はEUによるエアバス社への補助金を巡って、報復関税を課す可能性のある40億ドル相当の追加品目リストを公表しました。この40億ドルの追加関税対象商品にはオリーブ、チーズ、ウイスキーなどの食品が盛り込まれたようです。

米中貿易戦争に世間の注目が集まっていたせいで、すっかりこの問題を忘れていましたが、EUがエアバスに行った補助金を巡って、アメリカの関税が課す動きが再開したようです。

このニュースを久しぶりに見た人や、「そもそもなんでしたっけ?」という方のために、次の章で背景をおさらいしておきます。

先にお話しておきますと、私は航空機を巡る補助金の報復関税を景気後退リスクとして見ていないです。米中貿易戦争と違って、欧米の関税の規模については世界貿易機関(WTO)が間に入って審査するため、世界経済の悪化に直結する規模の関税は食い止められる仕組みがあるからです。

その点、90%まで合意しながら、いつまでも発動した関税が解除されずに残っている中国との関係のほうが、よっぽど経済にダメージを与え続けると思います。

貿易戦争の休戦後も残る関税。中国経済に影を落とす恐れ。

ボーイング・エアバスへの補助金を巡る論争

この関税の背景には、長年争ってきた米ボーイング社とエアバス社の補助金を巡る対立があります。アメリカはボーイング社に、EUはエアバスに補助金を与えており、米国とEUは互いの補助金が不当だとしてWTOで審議していました。

2018年にはWTOの上級委員会で、エアバスに行ったEUの補助金が不当だとするアメリカの主張が認められ、さらに2019年3月にはボーイングに行ったアメリカの補助金も不当だとのEUの主張も認められました。

この最終審の結果を経て、アメリカとEUはそれぞれ関税のリストをWTOに提出し、双方の報復関税の規模はWTOが判断した上で、行使されることになっています。

航空機の補助金を巡る論争に関してはアメリカとEUの間にWTOが入っていることが、米中貿易協議とは大きく異なる点です。欧米はWTOの紛争解決の手続きに則って関税を課すことから、WTOが誤って世界経済のリスクとなる関税の規模を認めてしまうようなミスを侵さない限り、この報復関税が世界経済の減速リスクになることは考えにくいです。


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