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米リセッションはいずれくるが、まだまだ先

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アメリカの景気は想像していたよりもずっと強いです。

いえ、正確にはアメリカの雇用が想像以上に強いといったほうがいいかもしれません。例えば製造業などは景気が悪化している模様ですが、アメリカ全体の雇用はまだ堅調です。

もう2023年も8月中旬になりますが、この時期まで失業者がほとんど増えていない展開は想像できていませんでした。

この記事のポイント

  • アメリカの雇用はまだ強い。8月になっても失業者はあまり増えていない。
  • 6月時点ではFOMCメンバーも2023年末の失業率4.1%を予想していたが、恐らく見通しを引き下げることになる。
  • 鉱工業生産、小売売上、銀行貸出態度、設備投資など様々なデータがアメリカのリセッションシグナルを既に送っていることからリセッションはいずれ来るが、到来時期は2024年にずれ込む模様。

アメリカの雇用は強い

冒頭でも話をしましたが、アメリカの雇用は本当に想像以上に強い状態が続いています。

数日前に発表された新規失業保険申請件数では、8月になってもアメリカの失業者数は目立って増えていません。

上のグラフはアメリカの新規失業保険申請件数の変化を表したものです。2022年末に比べると失業者は増えてはいるのですが、過去のリセッション突入時には申請件数が35万件を超えていたことを考えると、今は23万件と少ないです。

2023年内にこの数字が35万件を超えることは、このままではかなり難しいと思われます。それなら、2023年内のアメリカのリセッション入りの確率が低いのだろうと思います。

年始には2023年のリセッション入りを私は予想していたのですが、残念ながらその予想は外れてしまいそうです。

失業率は予想以上の低さが続く

アメリカの景気が強いのが予想外だと感じている人は、私以外にも多くいるのではないかと思われます。

アメリカの金融政策を決める会議(FOMC)に参加しているメンバーが、6月の時点で予想していた2023年末の失業率は4.1%でした(下図)。

しかし、現時点でわかっている最新の7月のアメリカの失業率は3.5%で、過去最低付近をさまよっています。まだ、失業者の増加の兆候はほとんど見られない中で、これからわずか5ヶ月で0.5%失業率が上昇すると言うのはかなり難しい展開のように思います。

よって、恐らくFOMCメンバーですらも、アメリカの雇用はこれほど強いとは思っていなかったのではないかと思います。

GDP成長率も予想以上に高い

強い雇用に支えられえて個人消費の拡大がまだ続いているので、アメリカのGDP成長率も予想以上に高いことになりそうです。

上の表でFOMCメンバーの予想を見てみると、6月時点では2023年のGDP成長率は1.0%が見込まれていたのですが、恐らくこれは大きく上方修正されることになりそうです。

アトランタ連銀のGDP予想(GDPNow)では7-9月期の成長率は4.1%になると見込まれており、7-9月期になっても景気の衰えはやってこないようです。

アトランタ連銀のデータは今後の経済指標の結果で引き下げられる可能性が十分にありますが、ここでもリセッションの気配はまだ感じません。

米リセッションはいずれくるが、まだまだ先

ここまで見てきたように、アメリカの雇用は想像以上に強く、強い雇用を背景に消費の拡大がアメリカの経済を支えているようです。

この様子は2023年内は続く可能性が高く、2024年にならないとアメリカのリセッションは来ないのだろうと私は考えを改め始めています。

しかし、景気が強いといっても、アメリカはいずれ景気後退になると思います。雇用以外のアメリカのデータはほころびが数多く見られるからです。

鉱工業生産の落ち込み、小売売上高の低迷、銀行の貸出態度の厳格化と冴えない設備投資など、どれもリセッション前に見られる兆候が起こっています。

なのでリセッションはいずれ来ると思いますが、その到来時期はまだまだ先になりそうだと覚悟しなければいけないかもしれません。

私はリセッション後の株価が安くなったところで米国の株を買いたいと思っていたのですが、その好機はまだまだ先になりそうです。


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