年が明けてまだ半月も経っていませんが、今のところ米国株は堅調なスタートを切ったようです。
昨日まで2%上昇していて、ほっと胸をなでおろしている投資家も多いと思います。
そんな中で不安をあおるようなことを言うのは申し訳ないのですが、2023年の米国株の不安点を書いておきたいと思います。
この記事のポイント
- 過去の米国株の値動きを見ていると、景気後退前に底値をつけたことはない。
- 恐らく現時点でまだアメリカは景気後退が起こっていない。つまり、まだ景気悪化による株価下落のリスクが残っている。
最近は小難しい話が続いたので、今日は短くわかりやすい内容にしたいと思います。
景気後退と株価
1970年以降の過去の8回と米国株S&P500の動きを見ていると、あることに気づきます。
タイトルにも書いた通り、景気後退(リセッション)前にS&P500が底打ちしたことはないという点です。
上の図では1970年からのS&P500の値動きをグラフにしました。また、1970年以降の8回の景気後退期は薄い青で塗りつぶしています。
また景気後退の前後で株価が最も下がった時期を白丸でマークしていますが、8回全てで景気後退前に株価が底打ちして上昇に転じていることはありません。
ほぼ全てが景気後退期の中盤に底値をつけています。
景気後退突入 | 直前の株価ピークからの下落率 |
---|---|
1970年 | 35.0% |
1973年 | 49.5% |
1980年 | 20.6% |
1981年 | 28.0% |
1990年 | 20.3% |
2001年 | 48.9% |
2007年 | 57.7% |
2020年 | 35.4% |
まだ景気後退に入っていない
加えて、もう一つだけ情報を加えると、私の考えでは恐らくまだアメリカは景気後退に入っていないです。
景気後退に入ったかどうかの見分け方は、たいていの場合で失業率の増加が鍵を握ります。
よく言われる景気後退入りしたかどうかの基準に「最近3ヶ月の失業率の平均が過去12ヶ月の失業率の最低値よりも0.5%ポイント超えて上昇したら、景気後退入りと考える」というものがあります。(サームルールと呼ばれている基準です)
しかし、現時点の失業率は12ヶ月で最低の3.5%で全く上昇していません。
遅くとも2023年後半にはアメリカでは景気後退が始まるはずですが(下図のクリーブランド連銀による景気後退確率を参照)、まだ現時点では景気後退に入っていないものと思われます。
結論
ここまでに次の2つのことがわかりました。
- (1)景気後退前にS&P500が底打ちしたことはない
- (2)2023年は高い確率で景気後退が予想されているが、現時点ではまだ景気後退に入っていない。
この2つを合わせて考えると、これから2023年のどこかで景気後退が始まったら、株価が下がる可能性が高いと言えます。
2023年も途中までは株価が上がるかも知れませんが、その後に景気後退の下げ要因がまだ残っていることを頭に入れて投資する必要がありそうです。