8月中旬から米国株の下落が続いていますが、昨日もズルズルと株価が下がりました。
私は今回の下落は、S&P500が6月中旬につけた安値を更新するかもと思っています。6月の時点と比べても、今のほうがやや状況が悪いように見えます。
この記事のポイント
- 米国株指数S&P500は2022年6月につけた今年の安値を更新する恐れがある。
- 株価は企業業績と金利で決まるが、どちらも6月と同程度かそれ以上に悪い。
米国株が6月の安値に迫りそうな理由
2022年の米国株S&P500の値動きをざっとおさらいして起きます。
年始から6月中旬まで下がった後に、8月中旬まで回復したのですが、それ以降昨日まで再びズルズルと下がる展開が続いています。
そして、冒頭にも言ったようにこれからの下げで、6月16日につけたS&P500の安値を更新する恐れもあると思っています。
株価は企業利益と金利で決まりますが、そのどちらも6月と同程度かそれ以上に悪くなっているからです。
- 企業利益:今後1年間の一株利益見通しは、6月よりも悪化している。
- 実質金利:6月中旬と同程度まで上がって、株価に悪影響を与えている。
まず、アナリストが予想している今後1年間の企業業績予想の変化を見てみると、以下のように6月よりも今のほうがわずかに悪化してます。
言うまでもなく、企業の利益予想が低いのは株価にとってマイナスです。6月よりも利益見通しが悪いのは、6月よりも株安になりそうな理由になります。
2022年は企業業績よりも金利に反応して株価が動いている(詳細記事)ので、次に10年米国債の実質金利の動きを確認してみます。
すると、こちらも6月とほぼ同程度まで上昇していることがわかります。金利は上がるほど株価に悪い影響が出るので、今の投資環境は6月の安値時と同じくらいに悪いことがわかります。
実質金利は6月よりも上昇する恐れ
さらに細かい話をすると、株価に悪い影響を与える10年実質金利の上昇はまだ続く恐れがあります。
10年実質金利は上昇したとしても、30年実質金利を超えないところで上昇が止まる傾向があります。6月の株安時に10年実質金利の上昇が止まったのも、30年実質金利が蓋をしていた背景がありました(下図)。
そして厄介なことに、9月6日時点の30年実質金利は6月の株安時よりも高くなっています。
6月と同じように10年実質金利が30年のものに限りなく近づいてから下落し株安が終わるなら、その時の10年実質金利は6月よりも高くなる恐れがあります。
そして、その時の株価は6月よりも安くなっているはずです。
今後も30年実質金利が上振れないかをチェックすると良いかも知れません。30年実質金利が上振れるほど、株価の下落余地が広がるはずです。