まだ2022年を締めくくるような時期ではないのですが、今までの9ヶ月を見てみるとやはりFRBの金融引き締めが市場の重荷になったなと感じます。
痛みが出たのは国債で、10年国債利回りは過去に30年ほど続いたトレンドを大きく上回って上昇しています(国債は売られて価格が下落しています)。
米国株はどうかと言えば、たしかに2022年は大きく売られましたが、まだ十分に売られ足りないとのが今の私の意見です。
今週や来週にすぐに株価が下がるというわけではありませんが、国債に比べると調整が足りないという話をしてきます。
この記事のポイント
- 10年国債はこの1年間で大きく売られた。30年間の利回りの下落トレンドを超えた大きな利回りになっている。
- ブラックストーンの配当割引モデルを使うと、米国株S&P500は現在の価格から約25%から約35%くらい下がりうる。
大きく売られた長期米国債
この1年間でアメリカの長期国債はとても大きく売られました。
株価が下がると配当利回りが上がるように、長期国債は売られるほど利回りは上昇するのですが、2022年始めに1.5%だった10年米国債の利回りは9月時点で3.4%にまで上がっています。
利回り3.4%と言ってもピンと来ないと思う人も多いと思うので、長期的なグラフを1つ紹介します。
今まで1980年代後半から30年以上、アメリカの長期国債は大きな下落トレンドが続いていましたが、そのトレンドが30年ぶりに打ち破られるくらい大きな変動が2022年に起こりました。
その様子を示したのが、下のグラフです。
こうして見ると、2022年は米国債は例年になく大きく売られて悲惨な年になったことがわかります。
国債の利回り上昇で株価に下落圧力
国債が売られると株は割高になり、売られやすくなります。
具体的にどの程まで売られやすくなるのか数字があったほうがわかりやすいと思うので、ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏のモデルを見ていきます。
縦軸がS&P500の1年間の予想一株利益、横軸が10年米国債利回りで、交わった箇所の数字がS&P500の適正な価格になります。
これを使って、現在のS&P500の適正価格を調べてみましょう。10年国債利回りは3.4%、S&P500の予想一株利益はバイロン・ウィーン氏が上のモデルを発表した7月時点では220ドルと言っていましたが、Refinitvのアナリストではもう少し楽観的で現時点は232が予想されています。
10年3.40%とS&P500の一株利益232が交わるところを見てみると、次の赤い枠の箇所になります。だいたい3000から2600まで下がることになります。現時点のS&P500が4000弱なので、だいたい約25%から35%の下落です。
このようなモデルによる適正価格に向かって、S&P500が来週や来月からすぐに下落が始まるわけではないですが、もしも調整が起こるとすれば2割から3割の下落がありえるのだと考えておくのは良さそうです。