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Visa予想超えの決算でも、本格的な業績回復にはワクチンが鍵か【20年4-7月期決算】

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クレジットカードで有名なVisaの決算が発表されました。結果は悪くなかったです。

7-9月期はそれほど業績も悪化しなかったようで、収益も利益も予想を超えました。

Visaの決算をよく見るといくつか明るい兆候も見えています。アメリカの決済金額だけを見るとコロナ前の水準に戻りつつあるなど、収益分野や地域を絞ればポツポツと明るい材料が見つかります。

ただし、Visa全体としてはコロナの影響で今も大きなブレーキがかかっている状態です。特に、新型コロナウイルスの流行で出張・旅行が大きく減っているせいで、Visaの国際間決済の収入は落ち込んでしまっています。

この企業の収益が元に戻るのは、世界でコロナが収束した後になりそうです。

新型コロナウイルスのワクチンが承認されてコロナの収束見通しが改善されるなら、Visaの株価も伸びる可能性もあるので、承認のニュースが出た頃に株価が割高ではないなら、買っても良いかなと考えています。

この記事のポイント

  • Visaの7-9月期は収益・利益ともに前年比でマイナス成長に落ち込んだが、事前に想定していたほど悪化せず、どちらも予想を上回った。
  • Visaが重要視している「決済金額」、「決済処理回数」、「国際決済金額」のどれもが今四半期で改善をした。
  • ただし、売上規模で20%を占める国際決済はまだ落ち込みが大きく、Visaの収益はコロナが収束が見えないとコロナ前の水準には戻らないと思われる。
  • 新型コロナウイルスのワクチンの承認など、コロナ収束で恩恵を受ける銘柄。

減収減益でも予想ほど悪化しなかったVisa

7-9月期のVisaは事前に予想されていたほど悪化せず、持ちこたえました。

  • 一株利益:1.12ドルで、予想を0.02ドル上回った。(前年比マイナス23%)
  • 収益:51億ドルで、予想を0.7億ドル上回った(前年比マイナス16.9%)。

ただし、持ちこたえたと言っても収益はマイナス17%、一株利益はマイナス23%とかなりのダメージを受けています。新型コロナウイルスがVisaに大きな爪痕を残した様子が伝わってきます。

単位B:10億ドル 4Q20 前年比
収益 $5.1B -17%
営業利益 $3.2B -23%
純利益 $2.5B -25%
調整後一株利益 $1.12 -23%

以下はVisaの前年比成長率をグラフ化したものですが、残念ながら収益と一株利益にまだ回復の兆しは見えていません。

決済金額と処理回数に改善の兆し

収益と利益を見るとまだまだ低調なVisaですが、決算をよく見ると色々なデータに改善の兆しが少しずつ現れ始めています。

Visaが重視しているデータには次の3つがあるのですが、その3つのデータはどれでも7-9月で改善している様子が見えていきます。

Visaが重視している3つのデータ

  • 決済金額:Visaのクレジットカードとデビットカードの支払金額合計。
  • 決済処理回数:Visaの決済ネットワークで処理した回数。
  • 国際間決済:海外の旅行や出張での買い物など、国境をまたいだ決済金額。

さらに、アメリカだけに地域を絞ればクレジットカードとデビットカードの支払金額合計金額は、新型コロナウイルス前の1月の水準に回復しています。

米国での支払金額合計はコロナ前の水準に回復

上のグラフは、Visaの株を買っていない投資家でも勇気づけられる内容です。アメリカは他の国よりも大規模に景気刺激策を打ち出しましたが、その効果もあって個人の消費はかなり回復しつつあるようです。

Visaの本格的な業績の回復はコロナ収束後

ここまでの記事で、Visaは「予想していたほど、収益・利益が悪化しなかった」、「決済に関するデータで改善が見られる」という良いニュースを2つほど書いていきました。

これらを見る限り、Visaの業績は確かに最悪期を抜けて回復へと向かうと思われるのですが、コロナ前の業績に戻るのは時間がかかるかも知れません。

Visaの売上の中でも約20%を占めている国際収入が、前年比マイナス38%とまだまだ大きく低迷しているからです。

国際決済収入が大幅に落ち込んでいるVisa

しかも、月別に国際決済金額の推移をみても、この分野は回復がかなり遅いです。

国際決済金額の回復は鈍い

国際決済は海外出張や旅行などの影響を大きく受けているので、この分野で業績が回復するにはコロナの収束が必要になりそうです。つまり、Visaの本格的な業績回復には新型コロナウイルスのワクチンが鍵を握りそうです。

株価は将来の予想をどんどん株価に反映させていく傾向があるので、新型コロナウイルスのワクチンが承認されて、コロナ収束に向けて視界がパッと明るくなった時に、Visaの株価も回復に向かって動き出すかも知れません。

ワクチン承認のタイミングで、Visaの株価がそれほど割高でなければ、買っても良いかなと考えています。

ちなみに、国際決済収入の落ち込みはVisa(前年比マイナス38%)よりもマスターカード(同マイナス48%)のほうが大きいので、コロナからの回復を狙うなら、ワクチン承認でマスターカードの株を買うのも手だと思っています。


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