空をかける移動サービス– 2020年代の変化を見据えた投資テーマ(3)

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前回の記事では、2020年代に起こる大きな変化として、陸路の移動サービスについて触れました。今回は、前回に引き継き移動についてですが、空路の移動サービスをテーマにお話したいと思います。

変革の順番は、当然ですが陸の移動サービスのブームが先に来て、その後に今回紹介する空の移動サービスが続きます。空の移動サービスは、法整備に時間がかかることが大きく響き、商用サービスビジネスがかなり遅れると見られているからです。

特に、この記事の後半で触れる空飛ぶタクシーは投資対象として見るにはまだまだ早すぎるかもしれないこと、先に断っておきます。

羽ばたき始めたドローン配送


まず、空の飛ぶ宅配便のドローン配送から扱っていきましょう。

空飛ぶ宅配便というと、ジブリ映画のようですね。魔女の宅急便の主人公のキキは、13歳で自分が育った町からホウキに乗って旅立ちますが、ドローンは13年までは行かないものの10年弱もの間、法律の壁に阻まれ続けて、ようやく2019年に空に向かって羽ばたき始めています。

Googleが2019年4月にオーストラリアで世界初の商用ドローン配当サービスの展開を始めたほか、同年6月にはAmazonが数ヶ月以内にドローン配送サービスのAmazon Prime Airを北米展開すると発表しています。

世界各国でのドローンの規制はまだまだ強いものの、2019年は商用ドローン配送サービスが空に向かって羽ばたく最初の年になっています。現時点の有力企業もGoogleの親会社Alphabet(シンボル:GOOGL)とAmazonです。

Googleの世界初の商用ドローン配送サービスの記事:
グーグル親会社アルファベット、世界初ドローン配送サービスを豪州で開始(NEWS CARAVAN)

Amazon Prime Airの記事:
アマゾン、自配送用ドローンを公開。Amazon Prime Airを北米展開へ。(NEWS CARAVAN)

ただ、この分野は投資のテーマとするにはやや弱いと思われます。大きな金額の規模が動く分野ではないからです。これに比べたら、前回記事の自動運転サービスや、次の空飛ぶタクシーのほうがビジネスチャンスの規模が大きいです。

2020年代に登場する空飛ぶタクシー

まず、そもそも空飛ぶタクシーという言葉に聞き慣れない人も多いと思います。そういう人は、Uberが作っているこちらのコンセプトムービーを見ると、どういったものかイメージが湧きやすいので一度見てみると良いかもしれません。正直、そうとうクールで格好いいです。

映像で見てもわかるように、空飛ぶタクシーといっても、見た目は小型なヘリコプターに近いです。ただ、この小型ヘリをアプリでいつでも予約でき、数十キロから数百キロ離れた都市間まで時速200-300kmで止まることなく一直線に移動できる圧倒的な早さを手に入れることができます。

以下の図は、サンフランシスコから、シリコンバレーのサンノゼへの移動時間を車(UberX)、列車(Caltrain)、空飛ぶタクシー(Uber AIR)で比較した図ですが、車や列車では2時間前後かかるところを、空飛ぶタクシーなら15分での移動が可能になります。

車や鉄道よりも圧倒的に早い移動サービスを提供する空飛ぶタクシー

本格商用展開は2030年代から2040年代か

さて、空飛ぶタクシーは2020年代にかなり注目度が高いテーマではあるのですが、正直言うとこの記事を書いている2019年の時点で投資対象とするには、まだ早すぎます。

次の図は、モルガン・スタンレーが空飛ぶタクシーが世の中に普及する段階を5つのステージに分けて、その普及度合いをグラフ化したものなのですが、初期の商用サービス展開(ステージ4)ですら2030年代から2040年代と予想しており、収益化にはまだまだ時間がかかることが見て取れます。

空飛ぶタクシー普及曲線 by Morgan Stanley

  • ステージ1(2018-2020年):試作機開発
  • ステージ2(2020-2025年):実証実験・規制当局の法整備
  • ステージ3(2025-2030年):スカイポート建設・限定的な短距離サービス展開
  • ステージ4(2030-2040年):初期の商業サービス展開
  • ステージ5(2040年-):大規模な商用サービス展開

技術の進展にも関わらず、商用展開が進まない最大の理由は、ドローンと同じで法整備が進まないことです。ドローンのリスクは人々の生活の中にドローンや荷物が落下してくることですが、空飛ぶタクシーの場合は人命に影響するため、法整備にはドローンとは比べ物にならない時間が必要になります。

ちなみに技術的には、無人の空飛ぶ飛行機も不可能ではないですが、サービス開始当初は有人パイロットが登場する形は一般的になると言われています。

なので、空飛ぶタクシーは2020年代から変化の兆しが見えるものの、投資が報われて売上が回収できるのは早くても2030年代から2040年代です。現時点では、まだ競合の中の有力候補を絞るのも難しい段階でなので、2019年の現在の投資テーマとしては、個人的にはクラウドや自動運転車を投資テーマにしたほうが適していると思っています。

それでも、今後この業界をチェックしたいという人のために、主要プレイヤーを以下に洗い出しておきます。

  • Uber
  • ボーイング
  • エアバス
  • アウディ
  • ミュンヘンのスタートアップLILIUM社
  • イギリスのスタートアップのVertical Aerospace社
  • 中国のEhang

そしてこれらの中でも、特に注目の動きをしているUberについて最後に触れておきます。Uberは一番ビジョンが明確で、センスの良さを感じます。

2023年に限定的なサービス提供を目指すUberAIR

タクシー配車サービスのUberは2020年にダラス近郊で試験飛行、2023年には「空飛ぶタクシー」の地域限定ながらUberAIRのサービスを開始させる計画で現在動いています。

このUberは空飛ぶタクシーの機体自体の開発は一切せずに、陸路でも空路でもユーザに快適な移動サービスを提供するビジネスを目指しています。

個人的には、Uberが提案する「シームレスな移動サービス」にはセンスの良さを感じます。空飛ぶタクシーは離発着場所(スカイポート)が限られるため、現在地とスカイポート、スカイポートと目的地の間は、どうしても陸路の移動の必要が生じます。

ここで全米No1のタクシー配車網をもつUberの強みが活かせます。陸路も空路も同じ1つのUberのアプリでサクッと予約できるようにすれば、他社にはないスマートな移動サービスを提供できます。

また、こうした複数の移動サービスの統合はUberの中で既に始まっている節があり、Uberのタクシー配車アプリからスクーターの場所情報を表示させるサービスが開始されています。単にUberのアプリにスクーターの位置を表示させただけの地味な取り組みですが、これは将来的にシームレスな移動サービスを提供するための布石です。


Uberは自転車やスクーターを前線に配備(TechCrunch)

こうしてみるとUberは既に単なるタクシー配車会社ではなく、人々のスムーズな移動を提供するサービス会社に変わろうとしていることがわかります。移動サービスを提供するビジネスをMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)といいますが、Uberは収益性はさておき、かなりきれいなビジョンが描けているように思います。

さて、2回に渡ってお送りした2020年の移動サービス変革の特集もここまでです。次回は別の投資テーマについて触れます。


参考記事:ボーイング、空飛ぶタクシーの垂直飛行実験に成功!(GIZMODE)

参考記事:「空飛ぶタクシー」でも対決 ボーイングとエアバス(朝日新聞)

ミュンヘンのスタートアップLILIUM社参考記事:空飛ぶタクシーLILIUMが垂直離陸に成功。2025年の運行を目指す

イギリスのスタートアップのVertical Aerospace社参考記事:イギリス発:28人のスタートアップによる飛行タクシーのプロジェクト

中国企業Ehang社の参考記事:中国のドローンは人を乗せて空を飛ぶ。およそ1,000回テスト済み


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