コンテンツへスキップ

近いようでまだ遠いアメリカの景気後退

  • by

少し前までこのブログでは、「早ければ2023年の年明けにもアメリカは景気後退になるかもしれない」と書いてきました。

しかし、実際に1月に入っていくつかのデータを目にして「アメリカは景気後退が始まっているか」と聞かれると、さすがに答えは「いいえ」と言わざるを得ないです。

たしかに企業はだいぶ弱っていますが、雇用は強く、個人消費の余力もまだいくらか残されています。

2023年にアメリカが景気後退になるという予想は変えていませんが、もう少しだけ気長に待つ必要がありそうです。

この記事のポイント

  • 2023年は景気後退が予想されており、企業の利益は既に悪化している模様。
  • しかし、企業はまだ雇用を守っている状況で、景気後退に見られる失業率の増加はまだ始まっていない。また、消費者には借金をして消費する余力もいくらか残っているように見える。
  • 2023年の景気後退予想は撤回しないが、まだ少し時間がかかるかも知れない。

景気後退が予想される2023年で企業利益は既に低下

2023年には多くの人がアメリカの景気後退を予想しています。

FRBのニューヨーク連銀のサイトで公表している景気後退確率を見ても、2023年はその確率が急上昇しています。


出典:NY Fed

そして、アナリストたちは既に2022年10-12月期には前年比でS&P500の利益がマイナス成長に転じると予想しています。

消費者にはまだ余力がある

上のように企業のデータを見ていると、アメリカの景気後退も近いのではないかと考えてしまいます。

しかし、一度アメリカの消費者に関するデータに目を通すと、見える景色が変わってきます。

たとえは、次のグラフは毎週発表される新規失業者保険の申請件数(の4週間移動平均)ですが、この数字はまだほとんど上昇していません。

景気後退に入るとには失業率の上昇が見られるはずですが、その兆候すら見られません。

これを見る限り、現時点でアメリカが景気後退に入っていることはまずないと思われます。

ローンの延滞率もまだ低い

2022年では消費者は借金をして消費をする傾向も見られました。

消費余力が減って消費が急減速するするシナリオも考えられるのですが、それも現時点では恐らくいくらか借金できる余力は残っていると思われます。

次のグラフはデータが四半期ごとの更新なので少し古いのですが、アメリカの消費者のローン支払い延滞率を表したものです。

2022年に入ってから急速に上昇していますが、それでも2022年第3四半期でもまだ1.9%までしか上昇していません。

過去の景気後退の突入時には3%台後半を記録していたことを考えても、次の景気後退にまではまだ数四半期の余裕はあるように見えます。

さいごに

早ければ2023年の年明けにも景気後退があると思っていたのですが、どうもその予想はやや先走りすぎたのかも知れません。

少しだけ予想を変更して後ろ倒しする必要があるかも知れないと思っています。すでにポートフォリオは景気後退がいつ来てもいいようにしてありますが、2023年は気長に待ちたいと思います。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。