アメリカの金融政策で動きが見られるなら、コモディティETFなどのインフレ対策で買っている銘柄の一部を売却しようか検討しているという話を以下の記事でしました。
もしもインフレ対策で買っている株を売る場合、代わり買うならヘルスケア業界になるかなと考えています。
なぜヘルスケア業界に注目しているのか、また、具体的にどのような銘柄を購入候補として見ているのかをこの記事で書いていきます。
この記事のポイント
- 2021年後半にインフレの上昇は一時的に収まると見ていて、インフレを見越した投資の一部は一度利益を確定しても良いかと検討している。
- その場合に、売却資金で購入する銘柄は、ヘルスケア業界にしようかと考えている。インフレがピークをつけた場合には景気もピークをつけるが、そのような景気でもヘルスケアは強い。
- ヘルスケア業界で気になっている銘柄を本文に列挙した。
ヘルスケア業界に注目している背景
アメリカの景気はそろそろピークに近い時期だと思っているのですが、今買うなら景気が強い時期に株価が伸びやすい銘柄ではなく、景気拡大ペースが緩やかになっても株価に影響が少ない銘柄だと思っています。
景気拡大がピークを超えたあとのことを考えると、「ヘルスケア」「生活必需品」「公共」などが投資の候補にあがってきそうです。
この記事を書いている2021年6月時点の生活必需品や公共の株は既に割高な銘柄も多いのですが、ヘルスケア業界は比較的割安な銘柄が見つかりやすいです。
よって、もしもインフレに強い銘柄を売った場合、代わりに買うのはヘルスケア業界の株だろうと思っています。
ヘルスケア業界全体に投資するなら、業界ETF(例えばVHT)を買えば良いと思いますが、せっかくなので個別銘柄で投資のチャンスが落ちていないかを、ざっと見ていきたいと思います。
製薬会社の候補について
ヘルスケア業界の中でも、製薬会社で購入候補になりそうなのは、次の銘柄です。
- ジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)
- メルク(MRK)
- ブリストル・マイヤーズ(BMY)
- バイオジェン(BIIB)
この分野の王道はジョンソン&ジョンソンです。
ただし、今のジョンソン&ジョンソンは割安でも割高でもない妥当な価格がついているので、大きな上昇はそれほど期待できないかもしれません。
今買って、しばらく放置すると気づけばジワジワ上がっているような銘柄だと思います。
ジョンソン&ジョンソンよりも大きな上昇率を望むなら、割安か成長率の高いものを選ぶ必要がありますが、割安な銘柄で候補になり得るのはメルク(MRK)、ブリストル・マイヤーズ(BMY)です。
これらの銘柄はジョンソン&ジョンソンよりもわずかに一株利益(EPS)の成長率が低いだけですが、低い予想PERをつけて割安で売られています。
今後の売上成長で魅力的なのはバイオジェン
バイオジェンはアルツハイマーの薬が20年ぶりにアメリカで承認されたことで最近注目を集めました。
この薬は、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が期待されているものの完治するわけではないので、治療中は何度でも薬の売上が発生する点が投資家としては魅力的です。
バイオジェンはこの薬の使用許可が承認された日に38%も上昇しましたが、まだ上昇余地はあると思います。
Factsetがまとめたアナリスト予想では、2025年までにこの薬だけで50億ドルの売上になると見られてて、今後のバイオジェンの主力製品になると見られています。(参考までに、2020年のバイオジェンの年間売上は130億ドルでした。)
大きなリスクとしては、アメリカ政府から使用・販売の許可は既に出たものの、実はこの承認には追加試験が必要だということです。
もしも、追加試験で良い効果が示されないと販売許可が取り消されることになります。
ただし、バイオジェンの(かなり保守的な)見通しだと追加試験の結果が出るまでは9年かかるという報道もあるので、これから何年もの間はこの治療薬の売上は伸びていくはずです。
ライバル(イーライリリーとロッシュ)の動向にも注意して見る必要がありそうですが、面白い分野だと思います。
保険会社の候補について
ヘルスケア業界の中で、製薬会社以外には主に保険会社があります。
以下の保険会社は、比較的一株利益(EPS)の成長率が高く、割安なままで放置されていて投資のチャンスは広がっていると思います。
業種が違うので単純な比較は出来ないのですが、シグナ(CI)もアンセム(ANTM)も上で見たジョンソン&ジョンソンよりも割安なのに(予想PERが小さいのに)、大きな成長率が期待できるので、この銘柄は投資先としてありだと思っています。
最後に
この記事では2021年6月の段階で、ヘルスケア業界で購入するならどの銘柄が良いかを見ていきました。
利益がほとんど出ていなくても成長率が著しいバイオ医薬品企業も数多くあるのですが、こうした企業は今回は取り上げていません。
2021年の2-3月に見られたような長期金利の上昇が今後起こる可能性を私はまだ捨てていないので、そのような金利の急上昇が起こった時に高成長のバイオ製薬企業は大きく売られる恐れがあると考えているからです。
市場の動きから金利上昇に強い銘柄を探していく。
今後も実質金利が上昇する余地があるなら、どんな銘柄ならその影響を受けにくいのか把握する必要があります。この記事では、2月25日の市場でどんな銘柄が金利上昇の悪影響を受けにくかったのかを調べて、今後の金利上昇にどのように備えるかを考えていきます。
そこそこの売上を安定して上げることができる手堅い銘柄を多く紹介しましたが、1つだけ成長株として触れたバイオジェンはかなり面白い銘柄だと思います。
バイオジェンを投資するかどうかは、もう少しだけ検討して見たいと思います。