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米国株にまだ強気になれない理由

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7月はアメリカ企業の決算月です。早い企業では7月の半ばから決算発表が始まり、後半になるにつれてその数が増えます。

結果はフタを開けてみないとわかりませんが、どんな業績が発表されても私はまだ今は米国株に投資に強気に投資をするタイミングではないと思っています。

その理由をいくつかお話します。

米国株をまだ買わない理由

  • 今後のどこかでアメリカはリセッション(景気後退)に陥るので、それから投資しても良いはず。
  • 2023年に株価は上昇しているが、その間に2023年と2024年の利益見通しは改善されていない。
  • 米国株の株価上昇を牽引している大手ハイテク銘柄の中に、株価の上昇理由の乏しいものもある。

どこかでアメリカは景気後退になる

私が今の時期に米国株に強気になれない理由のもっとも大きなものは、(時期はわかりませんが)アメリカがリセッションに陥るからです。

リセッションになれば、一時的とは言え、株価は大きく下がると思われます。それなら、リセッションに入って株価が下がったことを見届けてから株を買いに行っても良いだろうと思っています。

リセッションになると思っているのは、私だけの考えではありません。米国の消費者にとったアンケートでは、(最近は少し減ったものの、それでも)70%近くが今後12ヶ以内にアメリカでリセッションが起こると見ています。

消費者へのアンケートのような曖昧でフワフワした根拠が嫌いなら、FRBにいるエコノミストのようなお堅い分析家の意見も見てみるといいかもしれません。彼らや彼女らも高い確率でリセッションが来る予想しています。

次のグラフはクリーブランド連銀のサイトで公開しているアメリカのリセッション確率ですが、2023年6月から上昇が始まって2024年4月は80%弱の確率でリセッション入りしていると見ているようです。

企業利益は伸びていない

2023年に入ってから米国株は上昇しています。

しかし、私は今回の上昇は株価上昇の根拠の弱いものに見えています。

企業の利益が今後上昇していくという見通しがあるなら安心して株を買う材料になりますが、2023年は株価が上がっているのに企業の利益見通しが改善されていません。

次のグラフはアナリストによる2023年と2024年のS&P500の企業利益予想ですが、どちらも2023年1月1日からほとんど改善されていないことがわかります。

株価上昇を牽引した大型ハイテク株について

2023年の米国株は大型ハイテク株が上昇を牽引していますが、その中には上昇している株価が上昇する根拠の乏しいものがいくつか散見されます。

AIブームに乗って業績の急回復が見込まれているエヌビディア株が上昇するのはまだ理解できます。

ただ、たとえばアップルは歴代最高値を更新し続けていますが、これだけ好調な理由は私には理解できていません。

現時点ではアップルはマイナス成長で2024年や2025年も一桁後半の成長率にとどまると見られているのですが、一株利益の33倍もの株価がついています。つまりPERは33倍で、これはS&P500の19倍とくらべても割高です。

今のAIブームについて

また、エヌビディアとて盤石ではないと私は思っています。長期的にはAIの活用の流れに乗れる銘柄ですが、それでもこれから数四半期で波乱があるかもしれません。

だいぶ前から言っていますが、私はAI全般は今後10年先や20年先も発展していく分野ではあるものの、ChatGPT(BingChatやBardを含む)で盛り上がった今回のAIブームは一時的なもので終わると考えているからです。

Googleトレンドではすでに”ChatGPT”検索数は低下が始まっていて、ブームが落ち着いてきたようです。

検索数だけではなく、Webサイトへのアクセス数も低下しているという推定もあります。

AIはブームを作っては消え、その度に技術的に進化を遂げている歴史があるので、今回もおそらくChatGPTブームが下火になってから数年後にまた技術が大きく進歩する道をたどるのだと思います。

AI自体は10年以上の長期的なトレンドになるはずですが、今ハイテク株を買っている投資家がどれだけ長期目線で見れているかは疑問です。

だから、AIへの期待が2023年の米国株の株価上昇に一部でも寄与しているなら、その部分はいずれ剥落するだろうと思っています。


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