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しばらくはアメリカの長期金利が下がりやすい考える理由の補足説明。

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基本的には、長期金利の下落にはあらゆる資産の価格を引き上げる方向に力が働き、長期金利の上昇はあらゆる資産の価格を引き下げる方向に力を持っています。

そして7月に入ってから、市場ではそのアメリカの長期金利の動きに関心が集まっています。

以下の記事でも書いたように最近では米国債が急速に買われる日があり、一時的に10年国債利回りは1.3%を下回って1.26%まで長期金利が低下する場面も見られました。

上の記事の中で、「最近の米国債の買い(と長期金利の低下)はまだしばらく続くだろうと思っています」と短期的な金利低下を予想していますが、読み返してみると、そのように考える理由が少し説明不足だったので、この記事で補足をしたいと思います。

この記事のポイント

  • 短期的まだしばらく米国債が売られやすい状態にあると思っている。
  • 理由は2つで、(1)アメリカの景気が3月以降にピークを過ぎて、経済の成長スピードが緩やかになっていく中で国債が買われやすい状態にあるから、また(2)2021年3月まで急激に上がった長期金利の反動の下落はまだしばらく続きそうだから。
  • 過去に反動が見られた場合の長期金利の下落幅を参考にすると、アメリカの長期金利は1.10%まで下がる可能性もある。

冒頭で紹介した記事では、アメリカの長期金利が低下している理由について「(1)アメリカの景気のピークが過ぎたから」という理由だけしか触れていないので、ここではもう一つの「(2)2021年3月まで長期金利が急上昇した反動が起こっている」という理由を中心にお話します。

2021年3月まで急上昇した金利の反動はまだ続く


1月からずっと米国株を投資していた人なら覚えていると思いますが、2021年3月までアメリカは急速に国債が売られて、長期金利が急上昇する場面が見られました。

以下のグラフでは、長期金利がどれだけ上がり過ぎかを示すためにグラフを作ったのですが、21年3月の時点では過去10年間を振り返っても例がないほど、急激に長期金利が上昇していました。

米10年国債りと90日移動平均

過去に急激な長期金利の上昇が見られた後には、ちゃんとその反動で長期金利が下がる現象が起こっています。

過去90日間の長期金利(10年国債利回り)から30%以上も急激に金利が上がったところを赤い丸で上記グラフに印をつけましたが、その後は長期金利は上がりすぎの反動で90日平均よりも-20%から-30%程度まで下がる現象がたびたび起こっています。

そして、2021年3月までの金利上昇の後にも、ちゃんと反動で金利の急落が起こっていて、7月9日時点で90日平均よりも-13%まで低い水準まで調整が進んでいます。

ただし、過去には-20%から-30%まで調整が進んでいたことを考えると、まだしばらく長期金利は下がる可能性が高いのだろうと思っています。

ちなみに今の長期金利の90日移動平均よりも20%低い値は1.26%、30%低い値なら1.10%なので、このあたりまで長期金利が落ちると下落スピードが緩やかになるのではないかとも思います。

長期金利の下落の反動が終わったあと

しかし、問題なのは今の長期金利の下落が落ち着いた後です。

以前の記事でも書いたように、今のアメリカには長期金利が上がる要因も下がる要因もあり、私にはどちらに動くかがはっきり分かっていません。

長期金利の上昇要因と下落要因

  • 長期金利の低下要因:アメリカの景気拡大のピークを超えて、リスク回避のために米国債が買われている。また、2021年3月まで長期金利が急上昇した反動で、低下している。
  • 長期金利の上昇要因:今まで長期金利を低く抑えてきたFRBの金融緩和が終わりを迎える。

直感的には「今のアメリカの金利は低すぎる」とずっと感じてきたので、3月までの上がりすぎの反動で下がっている長期金利の動きが落ち着けば、再び金利は上昇するのではないかとも思いますが、今はそれほど強い自信はありません。

私にできることは、(1)金利が急激に上がってしまった場合に備えて悪影響を受けやす割高な株を買わないこと、(2)金利よりも見通しが立ちやすいアメリカの景気拡大の減速に注目して、成長率の減速時でも比較的強い銘柄(ヘルスケア、生活必需品、公共など)を取り入れることくらいかなと考えて、今は投資しています。


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