アップル、Drive.aiを買収
Appleがスタンフォード大学発で自動運転を開発するDrive.aiを買収しました。
すでに数十人の自動運転関連エンジニアやデザイナーがAppleへと移籍している他、ライバル企業のWaymoやテスラから引き抜きも行っていると伝えられています。
Drive.aiの自動運転コンセプトムービー:
Drive.aiの買収はアップル自動運転開発を加速させる
Appleはカリフォルニア州の公道で自動運転の実証実験を行っていますが、他のライバル企業とは大きく遅れを取っていました。
Navigant Research(ナビガント・リサーチ)は2019年3月に、自動運転開発を取り組む大手企業を対象に、独自の手法で評価した自動運転ランキング2018を発表しましたが、評価した20社中アップルは最下位でした。
参考記事:自動運転ランキング1位Waymo、2位GMクルーズ。トヨタは9位に(NEWS CARAVAN)
Drive.aiも公道での走行実験を行ってる企業で、アップルよりも高性能な自動運転の走行データが開示されています。
走行データについてはこちらを参照:
グーグルの自動運転Waymoが大きくリード。自動運転開発競争に終止符か。
Drive.aiの買収によって、遅れをとったアップルの自動運転開発に加速をつけたい狙いがあるものと見られます。
自動運転の買収は時すでに遅しか
Drive.aiは確かにアップルよりも数段性能の良い自動運転技術を持ってはいるものの、それでも業界トップクラスではありません。
自動運転の業界をリードするのは、Googleの自動運転開発部門から別会社にスピンアウトしたWaymoとGMが買収したCruiseで、これら2社に比べるとDrive.aiは走行距離でも、1000マイルあたりの自動運転モード解除回数でも、1桁下回っているのが現状です。
またWaymoは既に自動運転技術を開発するフェーズから、既に量産化を模索するフェーズに入っています。また自動運転技術で「人の目」に相当するセンサーを量産して単価を下げるとともに、他社に外販化も進めるなど、他社の動きとは一線を画しています。
- 自動運転車の生産能力倍増を目指した新センター開設を発表(2019年3月)
- グーグル自動運転Waymo、自動運転の鍵を握るセンサーを発売へ。(2019年3月)
- Waymoが全米2位のタクシー配車会社Lyftと提携発表(2019年5月)
Waymoがこの業界リーディングカンパニーになることは各社が予想しており、UBSの試算では2030年にはWaymoの売上は1140億ドル(約12兆円)になると言われています。2018年のGoogleの売上が1,368億ドル(約15兆円)なので、あと10年で2018年時のGoogleに迫る巨大企業になります。
早くも自動運転の次に向かう世界の各社
自動運転開発などを進める移動サービス(Mobility as a Service:MaaS)の最先端領域は、既に自動運転開発から空飛ぶタクシーや、ロケットを使ってニューヨーク-上海間を39分で移動する次世代移動手段の開発に焦点が移っています。
Uberが進める空飛ぶタクシーUber Air:
Uber Air、2023年開始を目指す最新モビリティサービス。
テスラのイーロン・マスクCEOが率いる宇宙開発企業SpaceXが進めるニューヨーク-上海を39分で移動する、次世代飛行機コンセプトムービはこちら:
もしも、買収するなら自動運転車の開発企業ではなく、次世代移動サービスに着目した買収のほうが筋良しだったと思われます。
その他アップルの最新動向について
その他のアップルの最新ニュースとビジネス動向は、アップル企業分析ページでまとめています。詳しくはこちらをご覧ください。
【米国株】アップルの企業分析【投資家からの評価を上げている注目銘柄】
アップルという企業を知らない人はいないと思います。しかし、アップルが今何に取り組んでいて、なぜ株価が上がっているかを説明できる人は少ないでしょう。「アップルのビジネス動向(定性)」と「近年の株価と業積の変化(定量)」の両面を見つつ、アップルの今の姿を追いかけます。