遺伝子組み換え技術を使った植物由来の成分で作る植物肉(プラントベース・ミート)を製造するビヨンドミートの売上成長が加速しています。
- 売上: 前年比287.2%増加の6730万ドル。事前予想の5270万ドルを上回る。
- 一株利益: -24セント。事前予想の-8セントを下回る。
単位: 千ドル | 2019 2Q | 2018 2Q | 前期比 |
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小売 | 34,120 | 11,684 | 192.0% |
レストラン&フードサービス | 33,131 | 5,683 | 483.0% |
合計 | 67,251 | 17,367 | 287.2% |
2019年第1四半期(1Q)の売上は前年比で214.7%増加でしたが、そこからさらに加速して2019年2Qには287.2%増加でした。
28.7%増ではなく、287.2%増加です。誤植でも、疲れ目で数字を読み間違えているのでもなく、前年比で約4倍の売上を叩き出しています。前期の214.7%でもすごい急成長率だったのに、それがさらに加速しているのは驚きです。
株価は新規の株式発行ニュースを受けて急落しましたが、今後の売上成長が楽しみな銘柄です。
(※一般的に企業が新株を発行すると株価は下落します。株価は1株あたりの利益に比例しますが、新株発行は1株あたりの利益を引き下げるからです)
ダンキンもビヨンドミートのソーセージ入りサンドイッチを販売へ
ビヨンドミートは植物性成分由来の人工肉の分野で、インポッシブル・フーズと並んで業界をリードするうちの1社ですが、ブームにも乗っかって、次々とレストランへの採用やスーパーでの販売を始まっています。
直近ではダンキン(かつてのダンキンドーナッツ)が、ビヨンドミートのソーセージを使ったサンドイッチをニューヨークのマンハッタンで開始するようです。
Dunkin’ adds Beyond Meat’s sausage to its menu, starting in New York(CNBC)
最先端で最もクールなビジネス、人工肉市場
この植物肉を始めとする人工肉は、今アメリカで人工知能などと並んで、最もクールなビジネスと言われています。
業界の動向記事はこちらを参照:
[2019年版] 最先端のクールなビジネス、人工肉市場の最新動向(NEWS CARAVAN)
私も、今後間違いなくブームが来るテーマだと思っています。今でこそ、先進的な取り組みとして脚光を浴びたり、一部のベジタリアンに指示されている人工肉ですが、人工肉の製造価格は年々下がってきており、従来の畜産を経て出荷される肉よりも、安価にできる様になった場合には、コストカットの目的で多くの企業が採用するようになると思っているからです。
マクドナルドは一部で人工肉バーガー販売もまだ懐疑的。キードライバはコスト。
ビヨンドミートへの投資の旨味はあるか
売上は絶好調なビヨンドミートですが、気になる点がいくつか存在します。
- これから予想される価格競争が売上と利益を圧迫しないか
- 差別化要因があるか
現在のビヨンドミートは通常の肉よりもかなり割高で売られています。通常の肉が1ポンド(約450g)あたり3ドル以下のものもある一方で、ビヨンドミートの人工肉は11-12ドルで販売されています。
数字はこちらのサイトを参照:
データを分析! 普通の肉より高いビヨンド・ミートの代替肉、だが消費者は高くても買っている…… 少なくとも今は(Business Insider Japan)
人工肉を開発している企業は世界中にいて、技術革新のコストカットも進んでいます。この高い販売価格がいつまで維持できるかがビヨンドミートの成長を続ける上で重要になります。
また、もう一つの懸念点はインポッシブルバーガーなどの新興企業だけでなく、ネスレなどの老舗企業もこの分野に参入する中、ビヨンドミートが市場に君臨し続けるだけの差別化要因があるかどうかです。
私はにはいまだにビヨンドミートの差別化要因はわかっていません。先行者利益はあれど、今後の市場で支配を続けるほど強い力なのかはまだ疑問が残ります。
もしあるのであれば、業界が急成長しているだけに魅力的な銘柄となりそうです。