私の今の投資は「アメリカの景気後退での株安待ち」という状態です。しかし、先日書いたようにまだ景気後退までの道のりは少し時間がかかりそうです。
2023年に景気後退が来ることは、恐らく間違っていないです。でも、もう少し時間かかることを示すデータは、わりと簡単に見つかります。
米国のクレジットカードで有名なディスカバー・フィナンシャル・サービス社の決算資料から、貸し倒れ確率(Net Charge-off Rate)というデータに注目してみたいと思います。
この記事のポイント
- ディスカバーのクレジットカードの貸し倒れ確率は2022年10-12月に2.37%上昇した。
- しかし、過去の景気後退が起こった時期に比べるとまだ低い。世界金融危機の景気後退突入時のクレジットカードの貸し倒れ率は4%だった。
- ディスカバーの見通しでは2023年には3.9%するので、景気後退にはいる可能性は十分高いが、まだ時間はかかりそう。
ディズカバーの決算に反応した投資家たち
今週18日、アメリカのクレジットカード会社のディスカバーの決算発表がありました。
ディスカバーの株を持っていないくても、同業者のビザやマスタカードの株が時間外で急落したので「何事か」と気になった人もいたかも知れません。
ディズカバーの決算を少し見てみたのですが、まず気になったのはクレジットカードの貸し倒れ確率(Net Charge-off Rate)の上昇です。
この確率は景気後退が近くなると上昇する傾向が見られるので、景気後退までの距離を測るためにもディズカバーの貸し倒れ確率を少し調べてみます。
ディスカバーの貸し倒れ確率は上昇も、まだ景気後退の水準には遠い
ディスカバーの発表によると2022年第4四半期のクレジットカードの貸し倒れ確率は2.37%にまで上昇したと言います。
これがどれだけ大きいのかを見るために、過去数年間の決算資料をひろってきて数字の変化をグラフ化してみます。
こうしてみるわかるのは、確かに2022年は1年間かけてクレジットカードの貸し倒れ確率はかなり上昇してはいるものの、コロナ不況があった2020年に比べるとまだまだ低い水準にとどまっていることがわかります。
また、もう1つの前の景気後退である世界金融危機時の頃を見てみると、クレジットカードの貸倒確率が4%を超えた後に景気後退になっています。
これらを見る限り、2022年にクレジットカードの貸し倒れ確率が上昇したとはいえ、まだまだすぐに景気後退になる水準ではなさそうです。
ただし、景気後退になるという見通しは確率の高いシナリオとして持っていてもおかしくないと思います。ディスカバーの発表では2023年に貸し倒れ確率は3.9%にまで上昇する見通しで、この発表に反応して株価が下がったのだろうと思います。
やはり結論としては、2023年のどこかで景気後退は起こると思いますが、まだもう少し時間がかかりそうだと言えそうです。