アマゾンEchoはGoogleの広告ビジネスを壊すか。

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2014年11月、アマゾンがアメリカでスマートスピーカーのAmazon Echo(アマゾンエコー)を発売した時、今までGoogleが築き上げてきたweb広告ビジネスがついに崩れるかと、当初私も含め多くの人が考えていました。

ネットで調べたいものがあれば、ユーザはまず「ググる(Googleで検索する)」ことからスタートし、その度にGoogleは検索結果と共に表示する広告で収益をあげます。しかし、スマートスピーカーを使えば、ググらないで音声だけで調べ物ができることになり、そこにはGoogleの広告を視覚的に表示するスキが無いため、広告収入は落ちていくのではないかと考えたのです。

だからこそ、GoogleがアマゾンのEchoに対してどのような手を打ってくるか、この数年間注目していました。2019年の現在までにGoogleが打った手は、圧倒的に高性能な人工知能であるGoogleアシスタントを開発し、先頭を走るアマゾンを猛追することでした。

一見すると広告ビジネスに不利な音声アシスタント(Google アシスタント)の開発を手がけるGoogleの狙いは、一体どこにあるのでしょうか。近年のGoogleの猛追ぶりを振り返りながら、Googleの狙いについて考えてみます。

他社を圧倒するGoogleの人工知能技術でアマゾンを猛追

2019年現在、Googleは人工知能の開発能力を高め続けていて、今では他の企業を圧倒しています。その象徴となるのは、このサイトでも度々紹介している、2018年5月8日にGoogleが発表したDuplex(デュプレックス)と呼ばれる機能です。

ユーザは、デュプレックスの機能が搭載されているGoogleアシスタントに向かって「レストランの予約をしたい」と声で伝えると、Googleアシスタントがユーザの代わりに予約してくれるのです。

より正確に言うと、web予約ではなく電話予約しかできないような店に対しても、ユーザーに代わって人工知能が自動でレストランに電話をかけ店員と会話をして予約を取り付け、ユーザのスマホに予約結果をお知らせしてくれるのです。

アナという女性が火曜日の夜に2名分のレストランの予約をGoogle アシスタントに依頼する様子が見れます。動画開始30秒で、依頼を受けたGoogleアシスタント(人工知能)が、画面右側のレストランの男性店員と会話する様子が見れます。

https://youtu.be/-qCanuYrR0g

このサービスは、既に2018年11月からアメリカの一部のユーザ向けにスタートしています。

「天気を教えて」や「テレビを消して」などの用途で使われている他の会社の音声アシスタントとは、明らかに一線を画しています。レストランや美容室予約などの限られたケースとはいえ、人間と会話できるレベルに達している音声アシスタントはGoogleくらいです。

こうしたGoogleの懸命な開発により、スマートスピーカーのGoogle Homeの売上も急速にアマゾンエコーに追いついてきています。2018年11月に調査会社のCanalysから発表された統計によれば、2017年9月末時点では、アマゾンがシェア75%でGoogleの25%を圧倒していたのに対して、2018年9月末時点ではアマゾン32%、Google30%と猛追しています。

音声アシスタントは広告ビジネスを破壊しない

冒頭にも話ししたように2014年11月当時の私は、アマゾンエコーはGoogleの既存の広告ビジネスを壊す恐れがあると考えていました。それからしばらく、GoogleがなぜGoogle Assistant(音声アシスタント)やGoogle Homeを開発するのか疑問で仕方ありませんでしたが、今ならその疑問に答えることができます。

「そもそもの問いの前提が間違っている。音声アシスタント普及後も広告ビジネスは続く」と。

結局は画面が必要だった音声アシスタント

2014年のアマゾンエコーが出た当初は、これからはスマートスピーカーの時代でスマホはなくなると云った論調も見られましたが、すぐにスピーカーだけでは生活に支障が出ることがわかりました。

例えば、東京駅までの道をスマートスピーカーに訪ねた時に、現時点から何分でどこの駅に行き、何時に出発するどんな電車に乗るか、乗り換えをどうするか、その全てを音声だけで伝えられて覚えていられる人はそういません。

2019年の現時点ではGoogle Homeが経路案内の返答する場合、音声で経路を説明すると同時に、スマホにも経路案内を画像つきで転送して、いつでも経路が確認できるようにしています。

結局、音声だけで人をアシストをするには限界があり、画面のあるスマホと連動したり、スマートスピーカー自体が画面を持つように進化する必要がでてきました。この記事を書いている時点で、これらの画面に広告は表示されていませんが、やろうと思えばGoogleはいつでも広告を出せます。

ちなみに、音声アシスタントが音声だけで返答が可能な場合でも広告の余地はあります。コカ・コーラのCMの最後に流れる”ミ・ド・レ・ミ・ド♪”やマクドナルドの”i’m lovin’ it”くらい短いブランド音であれば、音声アシスタントの返答時に流すことは可能です。

※注意:2019年2月時点で、Googleもアマゾンも音声アシスタントで広告を出すことは公言していません。ここでは、広告を出せる余地を検討したまでです。

スマホ・自動車・時計・家にAIをプラス

当初、多くの人が音声アシスタントが他のスマホやPCの代わりになる将来を予想しましたが、現実には、スマホなどの他の機器と連携しながら、音声アシスタントが活用される世界に変わりつつあります。

ちなみに、GoogleのCEOピチャイ氏はこの状況を早くから予想しており、2016年のCNETへの取材に対して、Googleはスマートフォン、ウェアラブル(時計など)、自動車、ホームの4分野でAIを使って賢くしていく方針を語っています。

参考記事:4分野の1つの自動車については、AIを使って自動運転を開発し、アメリカの一部の地域で実用化にこぎつけました。

グーグルの自動運転Waymoが大きくリード。自動運転開発競争に終止符か。

ユーザとネットの接点を開発し続けるGoogle

振り返ると、Googleはどの時代もユーザがインターネットを使う時に、Google製品が使われるように開発を進めてきました。いわば、Googleは”ユーザとネットの接点”を開発し続けて、広告ビジネスにつなげてきた歴史があります。

最初の”接点”はインターネットを閲覧するためのブラウザ(Chrome)でした。これを開発したのは、Chromeでのweb検索はいつもGoogle検索を利用して広告を表示するためです。また、スマホのOSであるAndroidを開発したのは、スマホでいつもChromeとその先にあるGoogle検索を使ってもらうためでした。

そして、今GoogleはPCやスマホの四角い画面から飛び出して、自動車・スマートウオッチ・スマートスピーカーなどの機器まで守備範囲を広げ、その全てにGoogleの人工知能(Google Assistant)を搭載しようとしています。

この取組みが成功したあかつきには、広告ビジネスの存続だけでなく、たとえば自動運転の配車サービスなどのいくつかの副次的な収入源も創出しながら、Googleの末永い繁栄に結びつくはずです。


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