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次の景気後退について考えていること【2022年2月版】

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このブログではアメリカの景気に関することを頻繁に取り上げています。

投資を積極的に行って良い時期なのか、それとも守りに入っていくべき時期なのかを考えるために景気の強さから見ているためです。

2022年2月の今はまだ(割高な高成長株でなければ)株などのリスクをとって投資をしてもいい時期だと思っているのですが、これから数年はアメリカの景気に大きな変化がありそうなので、今考えていることをざっくりとこの記事に書いておきたいと思います。

この記事のポイント

  • 次のアメリカの景気後退は2023年頃に起こるかもしれない。経済が成長しても物価の上昇のほうが高く、実質的にマイナスの成長になりそう。
  • 景気後退が2023年頃になりそうなら、株価のピークは早ければ2022年後半にも訪れる。
  • 今回のアメリカの物価の伸びは次の景気後退で一旦落ち着くになるが、その後に景気が回復すれば再び前年比5%を超えて物価が上昇する可能性は十分にある。

景気後退は早くて2023年


2021年の好景気だった頃に比べると最近はアメリカの景気が鈍化してきた印象がありますが、まだ2022年1月までの時点で景気は拡大しています。

それでも2022年はゆっくりと景気は鈍化して、景気後退に向かうはずです。

既に消費はだいぶ弱まっているのに、高すぎる物価の上昇を抑えるためにアメリカは景気を冷やす政策金利の引き上げ(利上げ)をやらないといけないからです。

>>【関連記事】低調だった2021年12月のアメリカの個人消費

次の景気後退がどれくらい近づいているかは、アメリカの国債の動きがそれとなく教えてくれるはずです。

景気後退の前には、[10年国債利回り]から[2年国債利回り]を引いた値がマイナスになる動き(逆イールド現象)が見られるのですが、2022年2月時点ではまだ+0.6%なので、まだ景気後退まではしばらくは時間があります。


出典:FRED

次の景気後退は早くても2023年頃だろうと思っています。

ニューヨーク連銀のサイトを見ても、2022年12月までの景気後退入りの確率はわずか6%だと言っているので、2022年のうちに景気後退入りする確率はそれほど高くないはずです。

次の景気後退で見られること

この記事を書いている時点で、2022年のアメリカは5回から6回の利上げが予想されています。そして実際にそれだけの利上げをした場合には、インフレよりも早く景気が音を上げると思っています。

以下の記事にも書いたように、「住居費」などのいくつかの価格は他のモノよりも1年程度遅れて価格が上昇するものもあり、インフレは長引く傾向にあるからです。

>>2022年もアメリカの物価の高止まりが続く理由

すると、次の景気後退では(名目の)賃金も消費も伸びているのに、その伸びが物価の伸びについていけずに生活が苦しくなる(実質で経済がマイナス成長になる)という少し変わった現象が見られるかもしれません。

米国株のピークについて


以下の記事でも書きましたが、2021年1月で米国株が今回の景気拡大期での株価のピークをつけたとは思っていません。

>>2022年1月が今景気サイクルの株価のピークではないと思う理由

ただ、景気後退が2023年だとするなら、それより前にピークがくる可能性は十分に高いので、2022年後半くらいからはかなり慎重に株に投資する必要があります。

株価のピークの一つの目安は、次のグラフです。


※データ詳細はこちら

このグラフは米国株が10年米国債に比べてどれだけ割安かを数値化したものですが、金融緩和の縮小が進んで国債が売られてグラフが勢いよく下に行き始めたら要警戒です。

前回の2018年の利上げ局面では、上のグラフは1.5%まで下がった後に、しばらくして株価の下落が始まっているので、このグラフはこれからも毎月観察していこうと思っています。

2022年2月時点の今はまだ、株価のピークが近いか既に過ぎているようには見えていません。

アメリカの物価上昇について


2021年から急上昇したアメリカの物価の伸び(前年比)はそろそろピークをつけて少しずつ緩やかになっていくと思いますが、さきほども言ったように遅れて上昇するモノやサービスもあるので、2022年も前年比4%程度の高い物価の伸びが続く可能性が高いです。

恐らくちゃんとアメリカの物価が下がるのは、次の景気後退が始まってからになるはずです。

その景気後退でアメリカ政府や中央銀行から景気を支える政策が行われたら、それから1年くらい経ったときに再び物価の上昇が始まるかもしれないと思っています。

そうなれば、何度も景気後退と物価上昇を繰り返しながら物価が過熱した1970年代のアメリカにいよいよ似てくることになります。

このブログでは何度か触れていますが、次の景気後退で景気刺激策が打ち出された後にこそ長期的にゴールド、金鉱株、石油株、コモディティに投資に力を入れるタイミングになると思います。

さいごに

最後に以上を踏まえて、今後のすごくざっくりとした投資の考えを書いておきます。

  • 2022年は1年を通して少しずつリスクオフ(守りを固めていく)
  • 2023年以降に景気が悪化したら、大きな景気刺激策が行われるか注目。
  • 景気刺激策が行われたら、長期投資目的でインフレに強い資産を買い進める。

この記事に書いたことは、あくまでも2022年2月時点で考えていることです。見通しが変わったら、この手の記事を再び書いていこうと思います。


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