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金利が下がると、株価と国債価格はどうなるのか

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「金利が下がったら、株や国債の価格はどうなるの?」
「株と国債は逆に動くから、株価が上がったら国債の価格が下がるの?」という疑問に応えます。

2019年は世界的に金利が下がる年でした。また、これから景気が良ければ、数年後に今度は金利が上がる局面も出てくる可能性があります。

金利が上がったり下がったりした時に、株価や国債の価格はどのように変化するのかまとめておきます。

この記事のポイント

  • 金利が下がると、株価も国債価格も上がる。
  • 金利と国債の価格は全てで逆に値動きするわけではない。
  • 世の中にお金があふれると株価も国債価格も上昇する。また、インフレ率が低下しても株価も国債価格も上昇するなど、同じ動きをとることがある。

なお、金や商品価格については、もう少し仕組みが複雑なので、記事をわけて解説しています。

金利が下がると、株価も国債価格も上がる

いきなり結論ですが、金利が下がると株価も国債価格も上がります。以下のような関係があります。

株価 国債価格
金利が上がる 下降 下降
金利が下がる 上昇 上昇

(※株価を評価する金利は、10年国債利回りが多いです。なので、このページで金利と言ったときには、10年国債利回り(名目)と同じ意味で使っています)

「株と国債の価格は逆に動く」と思っている人からすると、株も国債も同じ動きをするのは意外な結果かも知れません。

金利が下がって株価が上がる理由

金利が下がって、株価が上がるの理由はこうです。

  • 金利が下がると、企業はお金を借りて事業投資がしやすくなり、業績が上向くので株価が上昇する。

実は、株価を式で理論的に求める式からも、金利が下がったら株価が上がることがわかります。ただし、この説明は数学の知識が必要なので、ここでは扱いません。

詳しく知りたい人は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

金利が下がって国債価格が上がる理由

理由というよりも、国債の仕組みに近い説明なのですが、市場では国債価格と金利(国債利回り)は反対に動きます。

例えば、「毎年2ドルもらえる国債」が100ドルで売られているとします。この時は利回り2%です。この国債の価格が高騰して、市場で200ドルに取引されるようになると「毎年2ドルもらえる国債」の利回りは1%に下がります。

このように、国債は価格が上がれば金利がさがリ、反対に金利が下がったら国債価格が上昇したことを意味します

株と国債は反対に動くんじゃなかったの?


金利が下がったら、株も国債も両方とも理論的には価格を押し上げる方向に動くと話をしてきました。でも、ここで1つの疑問が生じます。

「株と国債は反対に動くんじゃなかったの?」というものです。

たしかに、通常は株と国債の価格は反対に動きます。でも、それは全ての場合で反対に動くわけではありません。

株と国債価格が反対に動く場合

  • 【経済成長率】:好景気ではリターンの低い国債が売られ、高い株が買われる。反対に不況時には、株を売って安全資産の国債を購入する動きが出る。
株価 国債価格
経済成長率が上がる 上昇 下落

上の表では、経済成長率が下がる場合を省略しましたが、成長率が下がったら株は下落、国債は上昇と見て下さい。

株と国債価格が同じように動く場合

  • 【金利】:金利が引下げられた時、株価も国債価格も上昇。逆に金利が上がると、株価も国債価格も下落。
  • 【インフレ率】:インフレ率が上がった時、株も国債も投資リターンが少なくなるので共に売られ、金・商品が買われる動きが出る。
  • 【市場の資金】:中央銀行が市場に資金を供給してカネ余りになった場合、株も国債も買われる(例:量的緩和)
株価 国債価格
金利が下がる 上昇 上昇
インフレ率が上がる 下落
※実質リターンが下がる
下落
市場のカネ余り 上昇 上昇

このように株と国債は連動して動く場合も結構あります。

上の表で、インフレ率が上がる場合に1点補足です。インフレ率が上がっている場合には、一見すると株価は上がっているように見えることが多いと思います。でも、インフレ率を差し引いた株の儲け(実質リターン)は少なくなる傾向があります。

価格上昇の要因がわかっていても、予想が難しい理由


金利が下がったときには、株も国債価格も上昇します。また、反対に金利が上がったときに、株価も国債価格も下落する力が働きます。

一般的に、株と国債価格は反対に動くと思われがちですが、ちゃんと仕組みを追っていくと株と国債が同じような動きをする場合も結構あることに気づきます。

最後に1点注意が必要なのは、実際にはさまざまな要因が同時に働くので、上に書いたような理論通りの価格の動きにならない場合があることです

たとえば、2018年のアメリカが利上げに動いていましたが、株の価格は秋までずっと上昇していました。利上げをすれば株価には下落する力が働くはずですが、1年のほとんどで株価は上昇していたことになります。

その理由は、2018年秋まではアメリカはかなりの好景気だったので「経済成長率が上昇して、株価が上向く力」が、「金利引き上げで株価を下落させる力」に勝っていたからだと考えられます。

しかし、2018年10月以降に段々と利上げが重なって、株価を下落させる力が大きくなると、株価は大きく下落することになります。

このように株価や国債の価格の動きを予想するには、価格を上昇させる力と下落させる力が同時に働く中で、どちらが勝つかを見極める必要があります。

この見極めが難しいため、理論的な仕組みがわかっていたとしても、次に株や国債の価格が上昇するのか下落するのかを当てるのが難しくなっています。


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