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インフレの悪影響を受け始めたマクドナルド【21年10-12月期決算】

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少し前のことですが、マクドナルドが21年10-12月の決算を発表しているので、結果を振り返りたいと思います。

結果は悪かったです。商品は値上げをしているのですが売上は予想に届かず、増えるコストへの対応にも苦しんで利益も予想を超えることはできませんでした。

この記事のポイント

  • 2021年10-12月期は売上も一株利益も予想に届かなかった。
  • 前回の決算までは世界のインフレの流れに対して、うまく値上げをして対応できているように見えていたが、今期は利益を圧迫された。
  • 長期的にはうまく対処できる企業だと思うので売る必要はないが、今後の決算でインフレに対応できるか要注目。

予想ほど伸びなかったマクドナルドの業績


2021年10-12月期のマクドナルドの決算は少し残念な結果になりました。

売上も利益も前年よりも確かに成長しているのですが、たいていの投資家やアナリストが予想していたほどではありませんでした。

  • 売上:$6.01B(予想:$6.03B)
  • 一株利益:$2.23(予想:$2.34)

以下に前年からの成長率をまとめましたが、一見するとマクドナルドとしては決して悪いものではありませんでした。

単位B:10億ドル 21Q4 前年比
収益 $6.0B +13%
営業収益 $2.4B +12%
一株利益 $2.2 +31%

以下の売上や営業利益もグラフを見ても、それほど悪い数字には見えません。

強いて言うなら、前年同期の業績が悪いのにそれに比べると今期は成長率は物足りないと見えるかもしれませんが、その程度です。

上昇するマクドナルドのコスト

では、今回の決算の何が悪かったのでしょうか。決算発表のコメントに注目してみると、すぐに原因がコスト高(インフレ)にあることがわかります。

決算発表の主なコメント

  • 営業コストは前年比で+14%だった(売上+13%よりもハイペース)
  • 2022年も今後しばらくは賃金上昇と原材料コスト上昇が続くものと見ている。
  • 食料と紙のコストは2021年は+4%上昇だったが、2022年は一桁後半に上がるかもしれない。

コストが上昇する分、利益をするためにマクドナルドは世界中でビックマックやチキンナゲットなどの定番商品を値上げしています。

ただ、そうした値上げも頻繁に際限なくできるわけではないので、最近では売上の伸びは少し鈍化している傾向が見られます。

一方で、コストはこの1年間増加し続けているので、ついに今期は営業コストの伸びが売上の伸びを上回りました。

今までマクドナルドは比較的インフレにうまく対処してきた企業ではあったのですが、今回ばかりは苦戦したようです。

>>【21年7-9月期】マクドナルド、インフレのコスト上昇でも値上げで好決算

上の営業コストのグラフを見ていると増加傾向が続いている上に、決算発表では今後もコスト高が続くことを警戒しているので、しばらくマクドナルドにとってはインフレの波に苦戦する時期が来るかもしれません。

さいごに


この記事ではマクドナルドの10-12月期の決算を見ていきました。

前回の決算までは値上げをして比較的うまくインフレに対処してきたように見えていたマクドナルドですが、今期は残念ながら売上がやや伸び悩み、増えるコストにも対処が難しくなってきました。

アメリカでの賃金上昇や世界的な食料・紙の原料高が続いていることを考えると、まだしばらくマクドナルドには逆風が吹くかもしれません。

この銘柄を保有している投資家は長期投資を前提にしている人が多いと思うので、今回1回の決算で売る必要は全くないと思います。

また、インフレが長続きしたとしてもかつての1970年代の高インフレ時代を生き抜いた銘柄なので、超長期的にはうまく対処できるとも思います。

しかし、今のマクドナルド株は配当利回りがわずか2.1%になるまで買われていた状況なので、コスト高の逆風を背景に買われすぎの株価調整(ちょっとした下落)が続いても不思議ではなさそうです。


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